10-6

 応急処置を終えて、蛇龍珠が先導し、洗脳が解けた村人を村に戻るように指示し終えた所で、やっとその場の全員が一息つく事が出来た。でもこれで終わりじゃない。そうして最初に蛇龍珠が口を開く。


「我はあまり人に本来の姿を晒し、直接崇められるのが好きではないのだ。今回はそれが仇になった。気付いた時には既に力関係は逆転していて、正体を知られる事すら危険になっていた」

「ったく、会った時に直ぐ言ってくれれば、こんな苦労せずに済んだのによ」

「それはお互い様であろう。其方の策を事前に聞けていれば、その時点で正体を明かしていた」

「ちょっと、これ以上揉めないでよ」


 どうもこの二人は元から相性が悪いらしい。


 …………ん?


「ちょっと待って。今までの話を聞く限り、私が手首を切った意味あった?」

「無いな」「在りません」

「ひどい!!」

「俺は手首を切れとは一言も言ってねぇぞ」

「それはそうだけど! …あーあ、これじゃ肉を切って骨折り損、だっけ?」

「……もう少し世間の一般常識に関する教育に力を入れとけよ」

「蛇神の力にも限界はある。本人に学ぶ気が無ければどうにもならぬ」

「どうしてそこだけ息ぴったりなのよ!」

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