7-3
「ごめんなさい。隣町で落ち合うって言ってたのに……実は私に協力してくれる人に逢って」
「協力? お嬢様に?」
「それって俺の事か?」
ミューリを外套に擬態させ、近くまで来てみれば、成る程、あいつが幼い頃からの従者か。
肌だけじゃなく髪まで白い。この辺の人間じゃねぇな。厚めの旅装で誤魔化しちゃいるが、かなり線が細長い。目も細くて殆ど白目に見える。首元と手にはヒビのような皮剥けが起きていた。皮膚が弱いのかもしれない。
その間にも、男はすかさず花を背中に庇い、慣れた手つきで弓矢を構えた。
「誰だ?」
「奇遇だな。俺も今同じ事思った」
「ちょっと! 二人とも止めなさい! どっちも私の味方でしょ?」
「味方の味方が敵なんてよくある話だ。つぅか、こいつが居たら俺は協力できない」
話しながら少し二人に近づいていく間も、男は弓を構えたままだ。まあ、当たるわけねぇんだけど。
「ヴィゼル、彼は
「ハナ! 余計な事は言うな」
「信用出来ません」
同時にハナを口止めする。
「おいおいおいおいおいおい、状況分かってる? ハナは自分達だけじゃどうにもならないって判断したから、俺に助けを求めてるんだぜ? それともお前にこの状況どうにかできんの?」
「……あなたならできると?」
「準備中、とだけ言っておく。詰みまで後一手って所だ」
「ならせめて理由をお聞かせ下さい。なぜ、お嬢様を助けようとするのですか? 貴方にとっては危険なだけで、全く利益は無いというのに」
頭をぽりぽり掻きながら、わざとらしく大仰な溜息をついて、言ってやった。
「それが俺の"向かうべき道"だからだ! 悪りぃか!?」
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