6-3

「シャロ! 無事だったのね!」


 思わず駆け寄って抱きしめていた。シャロは服が濡れた事など全く気にも止めず、


「ご無事で何よりです。ですがまず服を着て下さい」

「あ」


 ヴィゼルはともかく、シャロに対しては今更な気もするけど、このままでは話は出来ないだろう。水を切って服を着た後、また抱き合って再会を喜び合った。


「とにかく無事で何よりです」

「シャロも良かった。逃げ切れたんだね」


 私が村から逃げ出す時、手助けをしてからどうなっていたか。村で見かけなかったから逃げたか、或いは……と考えていたのに。


「あの状況では私が逃亡の手助けをしたのは自明の理ですからね、追求が来る前に村を離れたものの、お嬢様の足取りが掴めず山を捜索しておりました」

「ごめんなさい。隣町で落ち合うって言ってたのに……実は私に協力してくれる人に逢って」

「協力? お嬢様に?」

「それって俺の事か?」


 声のした方を見れば、黒い外套を羽織ったヴィゼルがこちらを見下ろしていた。



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