第9話土屋
「えっ?」
みんなが一斉に土屋さんを見た。
「な、な訳ないだろ波川君。なぁ?土屋さん違うよね?」
僕の頭は既に真っ白だった。
「なんでわかったの?」
普段みんなから愛称でつっちーと呼ばれている人とは思えないほど低い声で波川君に尋ねた。
「杉本と付き合っていた頃、あいつは時々誰かに付きまとわれていると言っていた。だから最初はあいつのことが好きなやつなのだろうと思っていた。だが違った。いつもあいつの後ろで1人になるタイミングを狙っていた奴がいた。」
一呼吸置いた波川君は
「お前だ。土屋。」
と続けた。
「なんで咲に言わなかったの?」
土屋は重く閉ざしていた口を開いた。
「言ったよ、言ったに決まってんだろ。でも何度言ってもあいつは信じなかった。お前を信じた。つっちーはそんな人じゃない。なにか理由があるんだって。」
教室に沈黙が走り、まるで演劇を見ているかのような感覚になった。
「俺はそれからあいつと喧嘩した。それで別れた。全部、全部お前のせいなんだよ土屋ァ!!!!」
「しょうがないでしょ。あいつが悪いのよ。」
そう言って土屋は語り始めた。
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