第3話

 「……基地の前まででいい?」

 不安げな顔を少し浮かべながらも彼女は俺に言う。

 「ありがとう!えーっと…………」

 「ユナ、私の名前よ」

 「俺はサンだ」

 そうして俺とユナは国軍の基地へと向かった。

 ユナの家からはそう遠くなかったようで20分歩き続けると基地の前まで着いた。

 「ここまでしてくれて本当にありがとう。君のような優しい人がこの街にいたこと忘れない」

 そう言うとすぐに俺は基地へと向かう。ユナが最後に何か言っていた気もするが振り返らず進んだ。


 

 「おい、君。ここから先は軍関係者以外立ち入り禁止だ。引き返した……」

 「お前らは邪魔だ」

 警備の兵士が制止している途中に魔法を使い、彼らを燃やした。

 俺はもう前のように平穏な生活にはきっと戻れないだろう。だがそれでいい。エクシスとラッセルさん達の受けた苦痛に比べれば、これから俺に起こるであろう苦難など大したものじゃない。

 

         「止まれ」


 武装した兵士十数人が司令と思わしき男とともに出てきた。

 全員が冷静に俺のことを見据え、銃口をこちらに向けている。さすがは軍人といったところか。

 「今日、ここで貴様を葬ることでようやく我々人類は正しき世界に生きられる。魔法などという間違ったものは消えてしかるべきなのだ」

 奴はまるで自分達が正義であるかのような言い方で俺に言った。そのとき俺の心の中で押さえ込んでいた怒りが一気に込み上げてきた。

 「あの日に何も知らない俺たちが襲われて大勢の人が殺されて、当然だとでも?ふざけるのも大概にしろ!!!」

 そう言って俺がファイアを打とうとしたとき、右肩に痛みが走る。放つ直前に撃ち抜かれたようだった。

 それを皮切りに銃弾が次々と俺の身体を貫いていく。太もも、腕、お腹、足、数えきれないほど撃たれて血が服を赤く染めた。

 

 

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