11.私のテキトーな創作論⑥~カタルシスは溜めに溜めて解放するのだ! どん!~
例えば漫画やゲームの世界で、物語のクライマックスを最高潮に盛り上げるためには、魅力的なラスボスをどう描くか。これが重要になってくると思います。
魅力的なラスボスと言っても、様々なパターンがあります。
勧善懲悪なのか。
悲しい過去があるのか。
前者であれば、ラスボスが世界を破壊しつくし、仲間を奪い、ラスボスに対する怒りや不満、イライラや憎しみを溜めに溜めておき、ここぞというところで爆発させ、主人公たちが仕留める。
後者であれば、ラスボスの悲しい過去を際立たせて、主人公たちとの対比を明確に描き、「本当に主人公たちが正しいのだろうか……?」という葛藤を生ませる。
王道中の王道ですが、こんな感じでカタルシスを溜めて、物語を盛り上げている物語が多いと感じます。
こういうストーリーの構成は、エンタメ小説も一緒かなと思っています。
プロローグとエピローグの間には、見せ場というものが必須なのです。
カタルシスの爆発どころ、見せ場を決めていると、登場キャラの性格付けにもつながりますしね。こういう場面なら、この人はどう動くのか。キャラ設定が明確に連動していくのです。
長編小説のプロットを構想し、プロローグやエピローグ、クライマックスも決めました。
しかし、いざ執筆を始めてみると、ここまでたどり着かないパターンが非常に多くあります。
だって、構想中は無限に楽しいのですよ。頭の中には世界で誰よりも面白くて盛り上がる物語が既にあるのですから。これが世に出たら、大賞なんて目じゃない!
いいですか。それ勘違いです。
創作は完成させなきゃ、創作に
……自戒。(泣)
とまぁ、物語を描くに当たっては、クライマックスを決めるより、そこまでどういうふうに物語を引っ張っていくのか。ここが悩みどころで、一番難しいところです。
そりゃそうです。
クライマックスだけ決まっていても、そこまでの道のりが冗長でつまらなければ、クライマックスとならず。
いや、そもそもたどり着かなきゃ、物語はどこにも生まれないし、何も意味がないのです。
せっかく美味しいものを作るために良質な素材を集めたのに、料理を完成させず放置すれば、夏の蒸し暑い空気の中で食中毒を起こすのみです。
長編小説は一旦書き始めたら、最後まで書ききる!
カタルシスの爆発は、書ききった後に導火線をつなげることでも十分間に合うと思うのです!
私はよく、長編小説の執筆の手が止まってしまったら、新聞や雑誌のコラムを読みながら、ネタ収集することが多いです。
ネタはなんでもいい。身近なものほど、より読者が共感できると思います。
長編小説を書くための、私なりのコツです。これらを随時、調味料として振りかけていくのです。無理して一番初めに素材をすべて集める必要はないのです。
ところで、「長編小説をエタらせてはいけないぞ」という戒めを思い出すために、私はよく朝井リョウさん執筆の『何者』(直木賞)を読み返します。
この小説の中で出てくる主人公・タクトくんの言葉が、小説でもなんでも創作をする人にとっては、かなりずしんとくるメッセージ性が込められています。タクトくんだけではなく、物語の中のメッセージもそもそもずしんとくるのですが。
小説の核心のネタバレとなってしまう言葉ですので、ここには引用しませんが、初めて読んだときは、頭をがつんとハンマーで殴られたような衝撃を受けました。朝井リョウさんの小説は結構、今まで自分が持っていた価値観を丸裸にした上で、更に読む人の心までえぐってくるような言葉を突き付けてくるので、解放感ではない別のカタルシスに襲われます。読了後、心の体力はマイナスです。タスケテ、ワタシ、ドウスレバイイノ。
けれど、こういう構成や書き方も、とても勉強になるのですよね。
私はまだまだ未熟者です。
さぁて、今日も執筆頑張るぞー。
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