第27話

突然だけど、裏表紙と背表紙の違いをご存じだろうか?


裏表紙は、本をひっくり返したときに『表紙になる部分』です(表紙の裏ではないのでご注意ください)。

背表紙は、本棚に本を収納したときに見える『本のタイトル部分』です(背表紙は裏表紙と混ざらないように注意してください)。



では、こちらの『ひらけ 影の扉スパイス!』を 振りかけた 私の影から出てきた 扉(ドア)は、いったい何なのでしょうか?



「あ、あの。…これは ナニですか?」


「何やあらへんって。これは、聖女はんの『影に潜む』ための扉やんけ」



――さも、当然のように言われても、さっぱり分からない。


「つまりですね。聖女様の『影』へ 前提的に居座らせてもらう為の扉が、こちらになります」


ギールさんが その扉をひらくと、そこは(私の家の)私の部屋が現れてた。



(やばっ?!)


ベッドの上には お気に入りの BL小説 が、置き去りにされているではないか…………。


よし、今から片付けよう。親に見つかる前に、ぜったいに! でも、これは――。



(こ、これは…。もう、いつで帰れるってことか!?)



そう思って、扉へ 近づこうとしても、一向に距離が縮まらない。



「アホかいな。自分の影に入れるわけないやろ」


ラストンが呆れて、手を ひらひら させた。


そして、私の部屋へ 土足で 入っていった。


( こいつッ(# ゚Д゚) )


だけど、1番ヤメテ欲しかったのは、

私の聖書(BL本)を見て 笑われたときだった。


(気安く 触れんなっ!)……とか、思っていた時期もありました。



ラストンが、表紙をギールさんに向けて、手のひらを ぱたぱたと仰いだ。


(あっ。コレ、めっちゃ 恥ずかしいヤツじゃん!?)



魂が抜けていくぅ。




頼む、ギールさん。尻子玉を抜いてくれ……。



河童なら できるよなッ!



◇ つづく

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