第26話

いま、私の目の前には ふたりのイケメン がいる。


「これは、マフィア(組員)だな」


萌黄色の髪の毛のギールさんと、人参色の髪の毛のラストン。



『あやかし』から見れば、人間はこんなイメージなのだろうか。

それとも、ここが異世界だからだろうか。



ちなみに、ニゲルさんは2度目のフラッシュのときに、逃げ出した。


(これは 名前を付けられた ときから背負った『宿命』というヤツだな)



そして、私はこの世界のストーリーを だいたい 理解した。


(おそらく、ラノベの裏表紙に書かれていた『あらすじ』は 読者への ミスリードだろう)


きっと、こうだ。


――擬人化された動物が暮らす世界を舞台に、ご主人の聖女と、その子分で双子の兄弟が、修行の旅をしながら行く先々で活躍するというストーリー。



(――これで、間違いないっ! )



「ほな、聖女はん。わてらは、今後。この姿で人間の前に姿を現すから、覚えといてな」


「・・・え?」



おいおい。嫌なフラグを立ててくれるなよ。



「それは どういうこと ですか? ラストン、さん」


「なんでッか、その妙な間は? 素直に『王子様みたいです』とか言えんのかいな」



「まさか?」


私は疑問を ギールさんに ぶつける。



「あやかし一族の長は『王』ではなく『総大将』と呼ばれます。これは、ラスの冗談ですよ」


「くふうッ(おのれ、子分のくせに 主をからかうとは)」



本心は 語るに及ばず。

だけど、しっかりと抗議の目だけは向けてやった。



「聖女はん。怒った顔も めちゃくちゃ美しいな」


と擬人化したラストンの言葉が、妙に 私の心を ざわつかせた。



(だが、しょせん ヤツは豚。おちつけ、落ち着くのだ、私!)



◇ つづく



※お読みいただき ありがとうございます!

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