第25話

「……その道具から、とてつもない チカラ を感じる」


ニゲルさんが、驚いていた。



「ほぉ、あんさん。なかなか、お目が高いでんな」



そう言って、ラストンの顔がぐにゃり…、いや。違うな。


時代劇に出てくる悪代官のような笑顔を向けた。



「くッ! なんと面妖な。これが東洋の魔法。妖術というヤツなのか? 気をつけるんだ、聖女様!」



―とは、言われたものの。


あれは明らかに カメラ と コショウの瓶だ。


そして、この顔は……?



「落ち着いてください、ニゲルさん! アレは。ただ、笑っているだけです!」



「ば、バカなッ!」


驚く、ニゲルさん。



「なんや、あんさんら! 失礼にもほどがあるで!」 


逆に 驚く、ラストン。



「まぁまぁ、皆さん。落ち着いてください。」


そして、どんな困難にも平然と立ち向かう、ギールさん。


(あ、いや違ったわ。このナレーション)



「どうやら、文化間で誤解があるようなので、先ずは、僕らも人の姿を取ろうと思います」


「せやな。先ずは、コレや!」



ラストンは『擬人カメラ』をギールさんに向けた。



「ポチっとな」


シャッターボタンを押して、フラッシュをたく。



――すると、見るみるうちに 河童の姿から 人間の姿へ と 変化していった。



(よし。だいたい想像していた通りの姿だ)



我がBL‐eyes‐魔‐眼‐の真価、ここにあり、だな。


ドヤ顔の私。


イヌカがいたならば、きっと褒めてくれただろう。ふっふっふ。



◇ つづく

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