第24話

いま、私は物語の どの辺に いるのだろうか?



花澤はなざわ香姫かいさんの書く小説にバトルは付きもの。


物語を盛り上げるために、ラストは強敵と戦うのだ。


例えば、敵国の王様であったり、邪神を崇拝する教皇であったりとか。


でも、この前の作品はシリーズ化して、最後は魔王様とか出てきてたんだよなー。



(はじめに言っておくが。私は、バトルとか 労働とか 宿題とか 苦手だぞ)




ちょっと、ドヤ顔になってしまっているが、ここで お礼のひとつ でも言っておかねば、印象が悪くなるな。




「いやー。なんか、すみません。見ず知らずの妖に ここまでしていただけるとは」


「えぇよ、えぇよ。気にせんでも。なんせ、お嬢さんは可愛らしいからな」



ラストンが私の手を握ろうとしてきたので、はたいてやった。



「つれへんわぁ」



とか言っている ラストンとは対照的に、ギールさんの顔には、陰がさしていた。



(かっこいい)とか思っていると、優しく抱きしめられた。



「僕はね、恩には恩を、仇には仇を返すべきだと思っている。受けた借りはしっかりと返すべきだと」


丁寧な言葉遣いから、急にフランクな言葉遣いへと変わると、いっきに距離感が縮まった気がしてしまう。



・・・・・・こういうギャップに、少女たちは堕ちていくのだ。



「それでは、この森を抜ける前に、聖女様の影に身をひそめるとしましょう。ラス。アレを出してくれ」


ギールさんに促されるように、ラストンはズボンのチャックを開いて、何かを取り出した。



「ひらけ 影の扉スパイス!」



小瓶のような物。中には、茶色いコショウのような粉モノが入ってそうだ。



「からのぉ~、擬人カメラ!」 


――そうだった! 私は大切なことを思い出した。




花澤はなざわ香姫かいさんの小説の物語は とても素敵な 恋愛話が多かった。


でも、それを ぶち壊す ようなネーミングセンスのなさ。



小学生の頃は それが面白くもあったけど、高校生にもなれば、センスねー、とか普通に思ってしまう。



こんな調子でこられたら、間違いなく王様とかに タメグチ を叩いてしまうのでは?



(大丈夫か、私!)



◇ つづく

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