第22話

「ふふはははははは! 駄犬の最後、しかと見届けたぞ!」


おサルさんが、とても喜んでいた。



イヌカがいない今こそ、名前をきく チャンスでは。



「あの。お名前を教えて頂いても よろしいでしょうか?」


「うむ。たしか、まだであったな。まぁ、そう急かすではない。このような傑作は、そう見れるものでは無いからな」


おサルさんは、涙を流しながら笑っていた。

よほど、日頃のうっ憤が溜まっていたのだろう。


私も短い付き合いだったけど、ちょっとウザかったしな。


(でも、まだ生きてんだよな。いや、死んでいるのか?)


おサルさんは、ひとしきり満足したようだ。


天使のように純白な笑顔なのに、大きな瞳に見つめられると、なんだか心の中を見透かされているようで、なんだか腰が引けてしまう。


「──言うまでもないが、貴様にだけ、特別にだぞ?」


「はいっ!」



さらに、私は美少年からの『特別扱い』に弱い。



(カッコいい王子様も好きだけど、自意識の強い美少年というのも 堪らないんだよな)



そう考えていると、自分のストライクゾーンが意外と広いことを思い知った。



「よく聞け、おんな!」


(どきどき♪)



「我が名は、サ──」

「ほい、確保っと」



・・・・・・神も仏もいないのか?


おサルさんは、ラストンが手にした『ボール』に収納されてしまった。



(ありえないっつーの!!)



◇ つづく

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