第21話

「ニゲルさん、お願い!」


私は迷わず ニゲルさんに 投げつける。…が、逃げられた。


「おい、逃げるなよ」


「あ、いや、なんだ。その…。スゴく嫌な予感がしてな…」



ニゲルさんは 色々と イヌカにトラウマを植え付けられているようだった。



その諸悪の根源を見ると、ものすごく尻尾を振っている。


(あのバカはダメ。あの犬バカは絶対にダメ。)



私は、猿っぽいのに 目標を切り替えた。



「おサルさん、お願い!」



そういって、足を大きく振りあげる。

――☆キラン



(目覚めよ、聖女のチカラ!)



極限の腕力を振りしぼってボールを投げれば、イヌカが 空中で 見事にキャッチする。



(ありえないっつーの!!)



私の拳が怒りに震えていると、「おみごと」と ギールさんが 喜んでくれた。



イヌカは、その間に 収納されてしまった。



◇ つづく

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