第16話

「ねぇ、鳥さん。あなたの名前は?」


「俺はニゲル。『ニゲル・オールリ・ノジコ』だ。言っておくが、俺は既婚者だ。間違っても変な気はおこすなよ」


どうやら、心のうちを見透かされてしまっている。

だが、腐女子をなめるなよ。



……クックっクック。




「僕は『イヌカ・タヌキ』です」



聞いてもいないのに、犬っぽいのが自己紹介をしてきた。


(キミは、犬なのか?それとも狸なのか?)



「僕のIQは、53万です」



「「なん・・・だと!?」」



私とニゲルさんが驚愕してしまった。


どこかのアニメで、宇宙帝王とかが、そんなことを言っていたような――!?



「雑種め、口をつつしめ。そのような戯言を信じる 馬鹿が どこにいる?」



猿っぽいのが、空気を読まずにグイグイとくる。



「どんなに知能が高かろうが、他者の計略ひとつ見抜けぬ愚か者が、図に乗るでないわ」



これは、明らかに需要がある『小柄+戦闘狂』枠。


そして、相手にすると間違いなく 面倒くさい ヤツだ……。



「――人間よ。我が名をおしえ―――」



「ご主人。知っていましたか? 猿の知能よりも 犬の知能の方が 高い ということを」

「え、そうなの?」



唐突に、割り込んできた イヌカ 。



「そうです。現にこのような ことわざが 存在します。『馬鹿と煙は高いところへ上る』」

「…ん?」


「つまりですね。猿も、鳥も 危険を顧みず目立つ場所に立ちたがり、おだてにのりやすいということです」



その言葉に、ニゲルさんが激しく反応する。



「聞き捨てならないな、いまの言葉。そもそも、君の妙な提案のせいで、俺たちは死んだんだぞ。そのことを反省しているのか、ちゃんと反省を!」

「ふぅ。ちょっと言ってみただけじゃないですか。『もっと出来るはずなんだ。アナタは力を生かしきれていない』って――」


「――人間よ。我が名は―――……」



「「――興味ない(し)!!」」



ニゲルさんとイヌカが、ハモった。



仲がいいのか、悪いのか……。ただ、私は理解した。


(ふわふわ 浮いているのって、鬼火だったんだ。ちょっと気になってたんだよなぁ)



そんなこんなで、彼の名前は 随分と後になって 知ることになるのでした。




◇ つづく


※イヌカ & ニゲル

※アルファポリス版では、イラストが見れます。

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