第14話

「あの。どうして、そんなに臭いんですか?」


私は器用に2本足で立っている事よりも、その吐く息の匂いに驚いてしまった。


豚のご祖先様は、猪だと何かで読んだ気がする。

たしか、豚が先祖返りをすると猪特有の獣臭が強くなってしまうとか。


でも、これは雄豚の男性ホルモン特有の臭い。


ヨーグルトのような酸っぱい臭い。アンモニアや硫黄のような臭い。



「なんや、あんさん。この俺に、興味があるのかい?」


急に、イケボ(かっこいい声)に変わった豚の手が、私の胸を触ろうとしてきた。



「…さ、触らないで」


「おいおい。ほなら、あんさんの どこを触ればえぇんや? ここか? ここでっか?」



――とてつもない悪寒がする。



その横で、河童がにっこりと笑った。



「ラス。冗談は、そこまでにしておくんだ。聖女様との 協定を 我々から破るわけにはいかない」


「なんや、つれんなぁ」 豚がつねられたお尻をなでつつも、ご満悦なお顔だ。



「あの。貴方たちは いったい 何者ですか?」 

(私のことを聖女といった、この2人は、何者なの?!)



私の質問に、豚がゆっくりと口を開いた。



「…あんさん、聞いてなかったんかいな」とても呆れられた(´▽`)だ。



「ほな、もう一度紹介させてもらいます。わいの名は『ラスボ・スノオ豚』。人呼んで、ぱしりのラストンや」

「僕はウラギール。『ウラギール・ザ・プレート』。ギールと呼んでくれ。共に、あやかしの一族だ」



こうして、2人の名前を聞いたとき、私は犬っぽいのを見た。



(あちゃ~。さては、私。あやかし百鬼夜行に 遭遇したんだな)



◇ つづく

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