第12話

この森には、たくさんの生き物たちが住んでいた。


「私は アリシア。ねぇ、あなたは?」


なんて感じで、幼少期に見たTVのお姉さんのように振舞っていたら、犬っぽいもの とか 猿っぽいもの とか 鳥っぽいのが憑いてきて、森を案内してくれた。



‐黄昏の森‐



数千年前に【けがれ】と呼ばれる厄災が生まれ、それを祓う為にドラゴンがこの森を焼き払ったのだという。今では、その【けがれ】を祓う役目は『聖女』が行っているらしい。


――らしい。というのは、だって動物が話してる事だし、そもそも、なんで コイツらは 私と普通に会話ができているんだろうか?


そんな会話で盛り上がっていたら、豚と河童が仲間に加わっていた。


「いやぁ。あんさんが、あの有名な聖女様だったとはなぁ~」

「感激しております。お釈迦様に見捨てられ、はや数百日。行き場もなく困っておりました!」


豚と河童が交互にしゃべりまくる。しゃべるしゃべる。

だから、合いの手を入れるだけで精一杯だ。


秘かに、あの地獄のようなトレーニングを思いだす。



(ツッコミだ、突っ込みを入れろ、私!)



「破門されたんですか?」と犬が問う。その場の空気が重くなる。


「キキッ」と猿が笑う。

「アホ―、アホ―」と鳥が鳴けば、もはや葬式の参列者状態になった。



(重い。重すぎるわ…。昨日の教室のように重いわ!)



私は空気を和ませるために、笑顔を作って、拍手をしてみたら、



豚と河童が固まった。




◇ つづく...

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