第8話
「ちょっと待って! 私と結婚してください!!」
剣士が刀身を鞘から抜くよりも先に、私は言葉を発していた。
その顔は、あまりにも反則的にカッコ良いかったから。
――これが、小説でよくある『運命の恋』なんだわ!
でも、彼らからしてみれば、怪物の咆哮にしか聞こえなかったようで。
慌てて逃げていく様子から 手に取るようにわかってしまう...。
(分かっては、いるのだけど……)
――女子に、それの対応はないでしょ!?
「ちょっと、待ってよ! こんなところに 女子高生が いるのよ!」
私は、追いかけた。それはもう、ぜんりょくで!
――ただ、このベリオソス(4
ゾウのように、ゆっくりとした動作だった。
それでも『魔法の泉』のおかげで、小型犬くらいの速さで走れている、と思う。
……なのに、彼らは必死で逃げていく。
私たちの距離は、どんどんと離れていく。
「バケモノめ」
「ひぇー、おたすけー」
「おれを食べても、美味しくねぇーぞー」
最後のことばは、ちょっぴり心をえぐった。
言葉は通じていなかった、と思いたいです...。
でも、こんなところで 独りきりは 絶対にイヤだ。
――私も必死で追いかけた。
でも、彼らは魔法を使って消えてしまったのです。
あぁ。もう、追いかけようがない。
私は、消えてしまった剣士様の残り香を嗅ぎつつ、途方に暮れていく。
◇ つづく...
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