第2話

私は本をレジに持って行った。

店員さんは笑顔で会計を済ませてくれた。


「ありがとうございます。花澤はなざわ香姫かいさんの新作ですね。私も読みましたが、とても感動しましたよ!」


「そうですか……」


私は無表情で返事をした。


ほとんど同じような主人公ヒロイン。そして、イケメン腹黒王子。

展開も似たり寄ったり。


前々作から、読んでも感動できなくなってしまっていた。

だから、私にはどうもピンとこなかった。


「それでは、お気をつけてお帰りください」


店員さんに渡された本をカバンに入れて、店を出た。

きやすく話しかけられたことに、少し悶々としていた。



(つぎから、あの店で買うのはやめておこう。)



私は気を取り直すことにした。


「さて、家に帰って読むかな……」

今日は土曜日で、学校も宿題もない。暇つぶしにちょうどいいかもしれない。


んぅ? そういえば、あの店員さん、どこかで見たような…。

最近。 どこかで、見たような顔だ。


私は歩きながら考えた。

でも、思い出せない。


「ここまで、出てるんだけどなぁ~」


◇ つづく...

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