第7話 はじまるセイ活
*
一階の食卓についた時、すでに母さんは出かけていた。
母さんは朝早く出掛けて夜遅く帰ってくる。
仕事が立てこんで帰らない日もしばしば。
絶賛不登校中の俺はほぼ家に篭りきり。
「なあ」
「なんですか?」
俺は朝食を食べながら、向かいに座る制服姿に戻った袮絵子に確認するように訊く。
「田網袮絵子は......出かけたりするのか?」
「出かける予定はございませんが?」
「明日も?」
「ええ。なにか?」
「いや、なんでもないよ」
やはり......どうやら俺は、今後は平日のほとんどを美少女アンドロイドと二人きりで過ごすことになりそうだ。
(ど、どうなるんだ......?)
俺は袮絵子の小さい顔を見ながら想像しがたいこれからの生活を思った。
といっても、家の中だけの狭い世界でのハナシだけど......。
「フミヒロ様」
「ん?な、なに?」
「私の顔に、何かついていますか?」
「あっ、いや!べつに!」
ヤバい。
つい袮絵子を見つめてしまった。
アンドロイドとはわかっていても、可愛いものは可愛い。
そんな可愛い
(や、ヤバイ。なんかまた、熱くなってきた......くっ、クソ!)
俺はにわかに込み上がってきた熱いモノを抑えるため、食器を置いてスッと目を伏せて頭の中に元素記号を浮かべた。
「フミヒロ様」
「な、なに」
目を伏せたまま返事した。
「フミヒロ様は、お勉強はしていらっしゃるんですね?」
「あ、ああ。まあ、一応......」
「では、アッチのお勉強は、していらっしゃいますか?」
「あっち?あっちってなに?」
俺が視線を戻すと、
「それは.....」
と袮絵子は言いさして、すっくと立ち上がって俺の隣の椅子にスッと腰かけた。
「な、なんだよ?」
俺は美少女アンドロイドの接近にドキッとして、目を合わせずに尋ねた。
「アッチとは、コッチですよ......」
袮絵子はささやくように濡れた声で言った。
「え?」
思わず俺は隣に目をやると......我が目に映るは、袮絵子が自らの胸を自らでわさわさと揉みしだく姿。
「!」
もはや俺の目はそこに釘付けになってしまう。
否応なく触感を想像して俺のバイヴスはグングンとアガッてゆく。
「一緒にお勉強、しますか?されますか?したりされたり、シますか?」
袮絵子は蠱惑的な眼差しを投げてきた。
「あ、朝まで、お願いします......じゃないわ!」
俺はギリギリのところで欲情を振り払いガタンと立ち上がった。
「か、片付けて、部屋に戻る!」
あわてて食器をまとめて台所に向かった。
すると背中越しに袮絵子の声が響く。
「ミッションコンプリ〜ト!国家救済に一歩前進!」
「う、うるせー!!」
(い、いったいなんなんだこの生活は??)
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