第4話 未来の俺

「私は二〇六六年の日本からやって参りましたアンドロイドです」


「二〇六六年!?」


「二〇六六年とは、我が国の歴史に残る年。それは一体どういう意味なのか」


「はあ」


「亡国です」


「えっ??」


「二〇六六年。我が国は侵略を受け、あえなく敗戦し、国名なき亡国となったのです」


「な、なんだって!?」


「その原因とは......」


「?」


「ズバリ、貴方です!」


「えっ、は、はぁ??」


「フミヒロ様。貴方は二〇六三年二月、内閣総理大臣となります」


「え??俺が??総理??」


「しかも貴方は稀代の名宰相となります。

 国内経済を大いに豊かにし、GDPは世界一。外交・安全保障を極めて強固な物とし、確かな根拠に基づいた揺るぎなき国家運営を実現。

 それはもう歴代最高の総理と言われるほどでした」


「ま、マジか!未来の俺、そんなにスゲーのか!!」


「しかし、二年後の二〇六五年二月。あることで貴方は失脚します」


「あること?」


「女性スキャンダルです」


「えっ」


「現職の総理大臣が首相公邸にオネーチャンを連れ込んで制服プレイに興じるという大スキャンダルです。しかも一度ならず幾度となく」


「え......えええ??」


「未来の貴方は本当に優秀でした。頭が滅法キレて、大変人望もあり、卓越した指導力を持ち、尽きることない魅力を放つ。もはや政治家として必要なモノすべてを兼ね備えているといっても過言ではなかったでしょう。

 しかし、そんな貴方にもひとつだけ、大〜〜〜きな欠点がございました」


「ま、まさか......」


「大がつく、いえ、超がつく、いえ、それはそれはどうしようもないほどの、病的なほどのオンナ好きだったのです!」


「そんなに!?」


「英雄色を好む、とは言いますが、貴方の場合は完全に度が過ぎました。ハッキリ言ってヤリ過ぎです。

 公邸に複数のオンナを同時に連れ込んで、ひとりはJK、ひとりはCA、ひとりはナース......というふうにコスプレさせていき、

『お前は文部科学大臣だ。お前は国土交通大臣だ。お前は厚生労働大臣だ。さあ、夜の閣僚会議を始めようか!』

 などと叫んではそれはそれは乱れに乱れていたとか。

 あっ、ちなみにこれは週刊誌情報です」


「未来の俺...なにヤッてんだぁー!!」

 俺は頭を抱えて絶叫した。


「しかしです。本当の問題は、これがただの女性スキャンダルではないということです」 


「は、はあ」

 もはや制服プレイの話でいっぱいいっぱいの俺は生返事で答えた。


「フミヒロ様。しっかり聞いてください」


「す、すすすんません!」

 あわてて気を取りなおそうと姿勢を正す俺。


「ただの生来のオンナ好きから来るスキャンダルであればまだ良かった。問題は......このスキャンダルが仕組まれたものだったということです」


「仕組まれた?つまり、ハメられたってこと?」


「ハメられてハメた、ということです」


「あ、うん......」


「ここ笑うところですよ?」


「そんないきなり下ネタふられても!」


「冗談はさておき...何者かによるハニートラップだった可能性が非常に高いのです」


「は、ハニトラ?」

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