第3話 美少女アンドロイド

 俺はあわわわっ!とうろたえる。


「ちょちょちょ!いきなりなにしてんの!?」


「気にしないでください」


「ちょっと待って待って!!」


 俺は目を覆った。

 数秒経つと......

「パカッ」と何かのフタが開いたような音が耳に入る。

 

「フミヒロ様。見てください」


「だ、ダメだよ!そんな!」


「そういうのじゃないのでご安心ください」


「じゃ、じゃあいったいなんなの...」


 おずおずと指の間からチラリと覗いてみる。


「......えっ、えええー??」


 見えたのは...田網袮絵子の胸がパカッと開いて、中に何かの装置のようなものが施されている姿。

 そこをよく見ると、中心には小円の凸部があり、そのまわりが円形の溝になっていて、溝の一箇所には小さいレンズのようなものが確認できる。

 俺はふと何かを思い「んんん?」となった。


「あの、ええっと......?」

「ここでCDが再生できます」

 

 田網袮絵子はいたって冷静に言い放った。


「え??」


「ふたつあるので、これでDJができます。そう。これこそ未来のCDJ」


「テクノロジーの無駄使い!!それ絶対開発者の悪フザケだろ!!」

 

 俺は生まれてはじめて初対面の女の子にツッコミを入れた。


「未来でもそれこそアナログレコードで回すDJはいますよ?ひとつの文化でありアートですからね」


「そ、そうなんだ......いやそういうことじゃなくて!」


「とりあえず、私のことは未来から来た〔69ーDー74〕ロクデナシ、と覚えておいてください」


「そ、それは言い得て妙だな...じゃないわ!」


 目ん玉を飛び出さんばかりにぶったまげながらも......

 田網袮絵子と名乗るこの女の子が、どうやら本当にアンドロイドであることを俺は認識した。


(少なくとも、マトモな奴ではないことは確かだ......)


『未来から来た』というのも荒唐無稽この上なく信じがたいことだが、おっぱいCDがあまりに衝撃的すぎたため、腑に落ちないでもない。

 

(でも、カップ数で言えばCDというよりEF?もっとか?)


 ......て、なにを考えてんだ俺!

 そんなことじゃなくて!


 気を取り直して......。


 もちろん、すべてを信じたわけではない。

 けど、とりあえず話は聞いてみよう...いや、聞いてみたいと思った。


「もうよろしいですね」


 まもなく胸を戻して服を着直す彼女。

 その光景に俺は思わずドキッとして顔を逸らした。

 たとえ相手がブッ飛んだアンドロイドだろうが、中二男子の性欲は歯止めなく底知れず恐ろしい。


「あとは、私が未来からやって来たということの証明ですが......それについては、我が国の国防・安全保障に関わる超高度レベルの国家機密。したがってお伝えすることができません」


 田網袮絵子は服を直しながら言った。


「あ、ああ。まあ、それなら......」


「本当によろしいので?」


「だ、だって、仕方のないことなんだろ?」


「ご理解いただき感謝いたします。さすがはフミヒロ様です」


「い、いえ」


「さて、それでは......本当に大事なのはこれからお話することです」


 田網袮絵子は仕切り直すように切り出した。


「は、はい」


「これは、我が国と貴方に関わる非常に重大なことです。心してお聞きください」


 そして、美少女アンドロイドの語る壮大な話が幕を開ける......。

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