最終話:その後も...

その後も、不気味な住宅街の田んぼは、荒らし行為を働いた者たちへの祟りを続けました。夜になると、田んぼからは不気味な光が漏れ出し、地面からは歪んだ声や悲鳴が聞こえるようになりました。住民たちは田んぼの周りを避け、近づかないように心掛けるようになったのです。


ある晩、町の老婆が田んぼの近くを通りかかりました。彼女は昔から町の人々から畏れられる霊能力者で、その力を使って悪霊を払うことで知られていました。彼女は田んぼから漂う不気味なエネルギーを感じ取り、決意を固めました。彼女は荒らし行為を働いた学生たちの霊を鎮めるため、田んぼに入ることを決意したのです。


老婆は懐中電灯を手に取り、不気味な田んぼに足を踏み入れました。彼女の足音が響き渡る中、田んぼの中心へと進んでいきます。その途中、稲穂が不気味に揺れ動き、彼女の周りには幽霊のような存在が姿を現しました。しかし、老婆は恐怖に負けることなく進み続けました。


やがて、老婆は田んぼの中心に辿り着きました。そこには、荒らし行為を働いた学生たちの霊たちが集まっていました。彼らは怨みと悔恨に満ちた表情を浮かべ、老婆に向かって恨み言を呟いていました。しかし、老婆は冷静な声で言いました。


「あなたたちの罪は深い。この田んぼと共に永遠に苦しむことが運命なのかもしれません。しかし、あなたたちもまだ救われる可能性があります。私が祈りを捧げ、浄化の儀式を行います。もしかしたら、あなたたちの魂に癒しの光が差し込むかもしれません」


老婆は手に持つお札を広げ、古代の呪文を唱え始めました。彼女の声が荒れ狂い、光と闇の交錯が始まりました。学生たちの霊は不安定に揺れ動き、苦悶の表情を浮かべました。


すると、突然、田んぼの中から輝く光が放たれました。光が学生たちの霊を包み込むと、彼らの姿は少しずつ穏やかさを取り戻していきました。彼らの顔には悔いや後悔の表情が浮かび、最後には穏やかな微笑が広がったのです。


「ありがとう、おばあさん」と学生たちの霊たちは言いました。「我々は自分たちの罪を認め、償う機会を与えられました。今度は平穏に眠りたいのです」


老婆は微笑みながら彼らに告げました。「あなたたちの罪は許されました。この田んぼにはもう誰も傷つけることはできません。ただ、この教訓を町の人々に伝え、同じ過ちを繰り返さないようにしてください」


そして、老婆が田んぼから引き上げると、不気味な光や異音も消え去り、静寂が戻りました。住民たちはその後、田んぼの祟りの話を真剣に受け止め、荒らし行為をする者は現れなくなりました。


不気味な住宅街の田んぼは、荒らされた学生たちの霊の償いとともに、平穏を取り戻しました。しかし、その田んぼの祟りの話は、町の人々の心に深く刻まれ、未来の世代にも語り継がれることとなったのでした。

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罪深き田んぼの祟り O.K @kenken1111

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