記憶。
えでぃ
第1話 過去
「ねえ、優って昔はどんなだったの?」
「んー、まあ普通?かな」
「なんか昔話みたいなのない?」
「じゃあ、少しだけ、、、」
*
「ごめん、、、ごめん優 、、、助けに、、、助けに行くから!」
小さかった俺は理解出来ていなかった。ただ唖然とその場に立ち尽くし、警察に連れていかれる母を見ていた。
俺は3人家族だったが、3歳の頃に離婚したらしい。それ以来母は変わった、俺を1人で生きていけるようにと育て、毎晩こう言った。
「ごめんね。」
俺には分からなかった。
*
自分の置かれている状況に気づいたのは孤児院に来て数年経ってからだった。でもその頃には全てを飲み込んでいた気がしていた。
「優〜」
「あ、翔」
「またくらい顔してんのか」
「そんなんじゃない」
「まあいいけど」
「ごめんねー優」
「ん、咲か。居たのか」
「ひどーい」
「はいはい、すんませーん」
「まあまあ、もうそろ行くぞ」
『はーーい』
ここ夜来孤児院は月に1回健康診断を受けることが義務付けられている。
*
「ふー」
計6時間くらいかかる健康診断を先に終えた俺は1人で部屋に戻ろうと思って廊下を歩き始めた。
今日はあいつら遅いな。そんなことを思っていたら、
「優!」
「あ、先生」
この人はここに来たばかりの俺を支えてくれた唯一の人だ。
「先生、あいつらまだおわんねえの?」
「あー、あいつらなら今日型をとって、、、」
「型?」
「あっ、か、、肩が痛いと言っていたから検査があってね」
「ふーん、まあいいやじゃおやすみ」
「おやすみ」
型?なんだそれ、なんの型だ?考えたが検討がつかないので部屋についてすぐに眠った。明日あいつらに聞けばいいかと思っていた。。。。。。
*
「ふぁーー」
よく寝たな、俺は起きると同時に昨日のことを聞くのを思い出し、食堂に行った。
「おはよ、優」
「おはよ、なあ翔、昨日なんでお前ら長かったんだ?あと型って、、、」
「おはよー、優くん、翔くん」
「は?」
俺は背筋が凍りつきそうだった。
「え?」
咲は何気ない顔をしているが確かに聞こえた、優"君"と。
記憶。 えでぃ @eddie_zZ
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