ep.9 敵か味方か
ファミレスを出た我々は、タクシーに乗りボーリング場近くにある警察署に向かった。
私は、左後部座席に座り、目の前の運転手情報を見ていた。
飯塚さんっていうんですか
運転手「あ、はい。そうです。どうかなさいました?」
いえ、私が好きな芸人さんに飯塚さんって方がいまして。
運転首「よく言われますよ、あまり多い苗字じゃないから。」
いやぁ、羨ましいですよ。憧れてる人の名前だから。
運転手「ありがとうございます」
「あの!!!!!」
吉岡さんが叫んだ
「もし、味方じゃなかったら。警察が、全てを知っていて隠しているなら。
もうこれ以上、事実を追いかけない方がいいんでしょうか?」
探偵としては事件を追いかけている以上、警察の協力を仰げないとなると非常に厳しいです。
ですがそれは、警察が“何も知らない”という前提の話です。
あくまで憶測ですが、今回のように警察が何かを隠している可能性があれば、
いくら、公的機関といえ、叩けば埃は出てくるはずです。
事実を追いかけない方がいいかどうかですが・・・
「そうですよね。あまり深く追い過ぎても、解決しないどころか身に危険が及ぶ可能性もあるかもしれないし。」
そうですね。あなたにはここで身を引いていただきたいというのが私の願いです。
「私だけ・・・?」
そうです。おっしゃる通り私の憶測が正しかった時。
警察も隠したいようなことを掘り起こそうとしている。
身の危険だって、ないとは言い切れません。
なので、ここからは私一人で行動したいです。
警察にこの事件の詳細を聞くところまでは、大丈夫でしょう。
しかし、その先はあまりにも危険です。
ご依頼を頂いた時から、そのつもりでした。
あまりにも危険な事件なのかもしれない。
だから、この事件の真相に向かうどこかであなたを捜査から離さなくてはいけない。
探偵は、依頼内容を他に漏らさない守秘義務や、依頼者に調査の進捗を報告する義務があります。
しかし、探偵が最も大切にしなくてはいけない義務があります。
それは。
依頼者を守る義務です。
あなたに危険があってはいけないんです。
だから、あなたと共に事件を追うのはここまでです。
「わかりました」
申し訳ありません。
私の業務上の決断と受け取っていただきたいです。
「私・・・。」
「これからも、探偵さんと一緒に追います」
だから・・・!
「だって探偵さんさっき、もう戻れないけどいいか?って聞いたもん・・・
それでも、追いかけるかって聞いたもん・・・。」
それは・・・
「私子供だけど、わかってますから・・・。探偵さんも怖いんだって。
探偵さんも、私と同じように、結末に向かうことを怖がってる。
私が作成した資料を見て頂いたら分かると思います。
これが、ただ単発した失踪事件ではないって。
何か大きな事件のような幹があるって。
私、怖かったんです。
だから、お願いしたんです。
でもお願いしたとき・・・。
探偵さんもきっと怖い気持ちになると思って・・・
私、死にたいわけじゃないです。
だけど、知りたいんです。その時その場所で知りたいんです。
だからお願いします。
探偵さんだけで進めないでください」
わかって・・・・
わかってないなぁ・・・・。
そうじゃなくて!!!!
「分かってないです!!私分かってないです!!!
分かってないから許してください!
知りたいんです!!お願いします!!」
すいません、到着しております。
1520円です。
私たちは、一歩も引かぬ会話をしているうちに警察署に到着していた。
料金を払い、失踪事件にまつわる話を聴きたいと受付の方に伝え、入り口近くの椅子で待つのだった。
もしもし、大倉刑事、飯塚です。
大倉だ。どうした。
今タクシーに乗っていた客、おそらくあの件について警察署に向かいました。
わかった。どこまで知っていた?
詳細は何も。しかし、あの件について向かったのは確かかと。
お前、何も話してないだろうな。
もちろんです…!話したら僕だって!!!
分かってる!!とにかく、もしまた乗せたとしても何も話すな。
もし公にばれたら供給はなくなる。俺も、お前もだ。
分かったな。
…はい!!
へぇ~。知られたら供給がなくなるんだ。
「探偵さん?どうしました?供給?」
あぁ、なんでもない。ほら、呼ばれたよ、行こうか。
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