ep.10 正義の中で
K町警察署3階の踊り場で電話をしていた飯塚にある男が話しかけた
僕に、やらせてください。
「どうした」
今の電話、そうですよね。
あの事件ですよね。
僕にやらせてください。
「何でお前が?」
やりたいんです。
飯塚さんがたまに言っていた“あの事件”
失踪事件の事ですよね。
僕、知りたかったんです。
ずっとその真相を。
「お前、生まれはどこだ。」
僕は、岩手です。
「何も知らないお前が関わるな」
何も知らないから、知りたくなるんです。
僕、今日までずっと一人で調べてきたんです。
このどこまでも奇妙な失踪事件を。
教えてください。
これは何なんですか。
何を隠してるんですか。
この町で、いったい何が起きてるんですか…
「知らない方がいいこともある」
やっぱり、知ってるんですね。
やらせてください。
僕に。
それがどれだけ暴いてはいけない真実だとしても、
僕は、辿り着きたいんです。
この町から消えていった人たちの事を
守りたいんです。
「勝手にしろ」
そういって飯塚は、デスクに戻り内線で誰かと話しているようだった。
“勝手にしろ”
飯塚にそう言われた新米刑事の秋山は、気になっていた事件に関与できることを実感し、恐ろしく不気味なこの事件に挑む事に、喜びや恐怖を抱いていた。
そして同時に、勝手にしろと言った飯塚が、この後殺されてしまうこともすでに予感していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます