ep.2 人が、消えていく。

ファミレスで依頼者と合流し、サイドメニューとドリンクバーのみを注文した。


依頼者:吉岡綾瀬(仮名)

年 齢:17歳

住 所:北海道K町葛城町〇丁目〇-〇-〇

依頼内容:北海道K町の連続失踪事件について


大まかな概要は知ってはいるが、調査のため冒頭からもう一度説明を求めた。



「はい、そもそも私がこの失踪事件を知ったのは、一つの疑問からでした。その疑問というのは、小学生のころから今までずっと思ってきたことだったんですけど、あの、不審者ってどの地域でもでるじゃないですか」


どの地域でも…?


「でも、私の学校では不審者に気を付けてくださいっていうのとは違っていて」


何が違うのか、そもそも結論から話してくれないタイプの人なのかと私は思った。




「今月は必ず失踪者が出ますので、変な寄り道はせずにまっすぐ家に帰ってくださいって」



私は、その言葉だけでこの“失踪事件”と呼ばれるものが何か大きな闇に包まれているような気がしてならなかった。


「初めて聞いたときは、必ず人がいなくなる月なんて、変なの。ぐらいに思ってたんですけど、成長していくにつれてそれがどれだけ異常なことなのかをどんどん実感して」


大人になっていく過程で、人間は恐怖心というものがどんどんと芽生えていく。

吉岡さんも当然の人間の成長過程の中でその違和感に気付いた。


「この依頼を送った1か月前に、過去の失踪について少し調べてみたんです。そうしたら...」


彼女は少し口ごもり、俯いた。



「本当に人がいなくなってるんです。毎年10人ずつ」

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