第4話 ~助けて~

僕は休み時間、窓際のカーテンに包まって一人漫画を読んでいることが多い。

たまに、クラスメイトに見つかって


「何一人でコソコソしてるんだよ」


って、なじられたりしている。


いつものように、カーテンに包まって、世紀末伝説の世界に浸っていた時だった。


「助けて・・・」


と声が聞こえたような気がした。

気のせいだと思い、続きを読んでいると、また、


「助けて・・・」


どうやら、誰かの思念が僕の頭に直接語り掛けてきている様だった。


本を閉じ、目をつむって、耳を澄ませ、息を止めて、周囲の思念に意識を集めた。


思念の出どころをつかみ、そっとカーテンを開けて、その方向に目を向けた。


そこには、女子4人、いやその4人に囲まれた一人の女子がいた。

彼女らは、いつものように小声で話しては大声で笑いあっている。


成長の早い女子達の目線は、常に僕より高い位置にある。

意図せずとも、必然的に僕を見下しているように感じてしまうので、僕は女子にはなるべく関わらないようにしていた。


「どうしよう」


と思いつつ、そのままその一人の女子に意識を集中してみた。

現われた鏡面には、中学校の屋上の隅に立ち、目を閉じて、ゆっくりと前に倒れながら地面に向かって落ちていく彼女の姿が映っていた。


気が付くと目の前にその女子がやって来た。


「何こっち見てんの?」

「チビのくせに」

「きもっ」


般若のような形相で、僕にそう吐き捨てて、4人の方に戻って行った。


「どうしよ、どうしよ、どうしよ」


いやーな汗をかきながら、心の中でそうつぶやくのが精いっぱいな僕は、何も言えずにその場に立ちすくんでいた。

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