ゴブリンはスケルトンナイトを追いかけます6

「私の像もある!」


 ゴブリンやコボルトを始め、アラクネやスライムなんてものもある。

 大きな実物サイズもあれば小さいものもあるがどれもうまいものであるとドゥゼアも感心する。


 ワーウルフは実物サイズの大きなもので大きく吠えているような体勢で圧倒される威圧感もある。

 ワーウルフであってユリディカではないと思うけどカッコよくは作られている。


「ひとまず危険はなさそうだな」


 念のため大きなスライムの木像の後ろに隠れるように移動して一息つく。


「ここまで来たはいいがまだリッチも帰ってきてなさそうだな」


 少し疲れたし贅沢する。

 パンにチーズと干し肉を挟んでサンドイッチにして食べる。


 なんの用事があるのか。

 スケルトンを連れていると聞いているので他にスケルトンでも探しているのかもしれない。


 成り行き上とりあえず屋敷に忍び込んでしまったがリッチとどう話したらいいのだろう。


「そんなのなるようにしかならないよー」


「ドゥゼアに任せる」


「拳で語りますぅ!

 コイチャを取り戻すのです!」


 ちょっとみんなにも聞いてみたけど答えは三者三様。

 ただ論外な意見もある。


 コイチャを連れて行かれたピュアンから出てきた意見はかなり過激だった。

 仮に人間だったとしてもリッチと殴り合うなんて暴挙やるはずがない。


 リッチの方も多分拳で語る殴り合いになど応じてはくれない。

 ただユリディカやレビスの意見もどうしようもない。


 ユリディカの言う通りなるようにしかならないのは確かにそうなのだ。

 だからといってそう言われてしまうと困りものである。


 まあ良い答えを期待したものでもない。

 最後の一口を放り込んでサンドイッチを飲み込むと大きなあくびを一つ。


 外は完全に火が落ちている。

 となるとゴブ生においては完全に就寝時間なのである。


「まあ悩んでも仕方ない。

 今日は寝よう」


 結局のところリッチに会わねばどんな相手で話が通じそうかも分からない。

 けれどこの木像を見ている限りではかなり手先は細かそう。


 根気強く続けないとできないことなので我慢強さはあると思っている。

 おそらくはこの屋敷もリッチが建てたものである。


 そんなに使うわけでもないと思うのに部屋もしっかりしていて衣装も細かく、中は掃除まで行き届いている。

 凝り性で丁寧さがある性格をしているようだ。


「少し冷えるな」


 家の中ではあるが周りが日の届かない森であるために気温が低めだった。


「ウヘヘっ、じゃあこうする?」


 ユリディカが寝転がって腕を広げる。


「うん」


「だってさ、ドゥゼア」


 ささっとレビスがユリディカの片腕を枕にするような感じでユリディカの横に寝転がる。


「しょうがない……お世話になるか」


 ドゥゼアは小さくため息をついてレビスとは逆の方に寝転がる。

 ユリディカがドゥゼアとレビスを抱き抱えるような感じで寝るみんな仲良しスタイル就寝。


 ユリディカは仲間が近くて嬉しくて、ドゥゼアとレビスはユリディカのふかふかの腕で寝られて暖かい。

 完璧な就寝スタイルなのである。


 ちょっと恥ずかしいことを除けば。

 普段はやらないで寒い時などにたまにやる。


 けれどレビスは意外とこの寝方が好きらしくてユリディカが尻尾を振りながらこうして寝転がるとすぐにポジションに収まっていたりするのだ。

 ドゥゼアもなんだか疲れていて眠かった。


 もういいやと思ってユリディカの腕枕に甘えることにする。

 ほんのちょっとワイルド臭のするユリディカ。


 決してその匂いは嫌いではなく、嗅いでいると意外と落ち着くのである。


「では私はお腹に」


 そう言ってピュアンはユリディカのお腹の上に丸くなる。

 眠りもしないが規則的に揺れるお腹の上は心地がいいのである。


「骨師匠見つかるといいね」


「きっと見つけてみせます。

 そして彼を解放してあげる。


 それが私にできる最後の……愛だから」

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