第50話 幕間/華やかな舞踏会

 今日はとてもとてもたのしい舞踏会。


 キラキラな会場で。

 ウキウキな心を持って。

 ワクワクしながらその時を待つ。


 ここは誰もがお姫様で王子様。

 ユメとゲンジツが重なり合うウタカタの場所。


 ちゃんとおめかししないとね。

 ちゃんとエスコートしてよね。


「──皆々様、集まり頂き誠に感謝申し上げます。これより、舞踏会を開演させて頂きます。どうぞ心ゆくままに。そして望むがままに。お楽しみ下さい」


 会場の端にはいろんなガッキを持った人達。

 長く華やかなテーブルにはオードブル。

 みんな思うがままに着ているドレスはお花みたいで、ここはまるでお花畑。


 とても綺麗で素敵な楽園です!


「ああ、ミーシェル王……!」

「おお、ミーシェル王がおられますぞ!」

「ミーシェル王!どうかワタシと一曲……!」

「ミーシェル王だ!!」

「唯一王、ミーシェル様……!」

「美しきオーデンバッハの子にして、最高の王……!!」


 会場を一望できる高い場所にミーシェル王がお見えになる。

 この国の王にして、世界で最も偉い人。


 王はワタシ達を無感動に眺めている。

 その視線は誰か個人に向けるものではなく、ワタシ達をただ群として俯瞰しているだけ。


 そして────


「あ、あれは円卓の皆様……!?」

「まあ、なんて素晴らしいの……!!」

「ガウェイン様だ!!」

「ランスロット様もいらっしゃるぞ!」

「トリスタン様〜!!」


 ミーシェル王の一歩後ろに三人の霊長類最強の騎士様達が見える。


 赤色の長髪で高い身長を持つ女性は、太陽の蝶ガウェイン様。

 青色の短髪で鍛え上げられた身体の男性は、湖の王ランスロット様。

 翡翠色の短髪で美しい瞳をした男性は、悲哀の空トリスタン様。

 皆それぞれ異名を持ち、確固たる意思の下にその力を振るう。


 これほどの騎士様や王様がいれば、もうこの国にシンパイ事などいらないの。

 ワタシ達はただただ甘美な平和を享受していればいいの。


 世界が終わる?文明が滅ぶ?人類がいなくなる?

 何もかもが真っ赤な嘘。何もかもが全くの未然。


 ──ああ、世界とはこの国全てを指す言葉です。

 逆にこの国が世界の全てと言うことです。


 唯一国家ワン。美しき国よ。美しき世界よ。永遠なれ。

 あともう少しでこの国を完全なモノになる。

 だから踊りでもして待っていればいい。










 外の世界が滅びる、その時まで。






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