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無事告白は成功し、俺たちは晴れて付き合うことになった。これで俺が次の成績上位ランキングで1位を取ることが出来れば、俺の計画は大成功だ。テストの手応えは抜群だし、自信はある。結果が楽しみで仕方ない。


「ねえ、探偵さん。付き合うって今までと何が変わるの?」


確かに言われてみると分からない。俺たちは付き合う前から付き合ってるような距離感に居たはずだ。これから俺たちは一体なにが変わるんだろう。うーん、と唸りながら暫く思考を巡らせていると、波上が見かねた様子でこう言った。


「じゃあさ、今日から隣…歩きたい。」


波上はいつも小声だが、より一層小声でそう言った。今まで俺の顔から視線を外さなかったが、ここに来て初めて恥ずかしそうに目を逸らした。


付き合ったら何が変わるのか。とりあえず波上が変わった。波上は俺の1歩後ろにいたかったわけじゃないのか。俺はドッと肩の荷が降りたような気がした。俺ももう波上の1歩前を歩く人間になろうと意固地にならなくていいのか。「隣を歩きたい」だなんて波上も勇気を振り絞って発言したに違いない。そんな波上に、俺も俺が変わったという所を見せたいと思う。


「そうしようか。マリエ。」


母親でさえ、同性でさえ、下の名前を呼び捨てにしたことがなかった。ああ、これが初めて恋人を下の名前で呼ぶ感覚か。本が教えてくれた俺の知らない世界を、波上が俺の知ってる世界へと変えてくれる。


何も知らない?大いに結構。知った時の喜びが沢山残ってるってことだ。



俺と波上は手を繋いで横並びで教室から出た。


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