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駐輪場は静かだった。まだ部活活動時間なので、即帰宅する組と部活終わってから帰宅する組が居ないこの時間帯が1番人が少ないかもしれない。いや、ド深夜の方が少ないな。そう思ったら俺は米道のバイト先の店で披露した推理が馬鹿馬鹿しくなった。体育の時間を把握して昼間に裏門を使って盗むくらいならド深夜誰もいない時に盗みに来た方が良いに決まってるじゃないか。犯人がそれをしなかった時点で、犯人はこの学校の学生だったんだ。なぜなら学生が犯人なら、真夜中の学校から自転車に乗って出てくることより周りに交じって自転車に下校した方が自然だからだ。
俺は波上のサブ端末からガムテームを剥がしながら駐輪場内から、“波上にあげる“自転車を探す。学校がオススメする自転車なので、同じような自転車が多いが、目印はある。
“何も貼られてないか、赤“だ。
1年生は入学の際に学校でお薦めされた自転車を新しく購入する人が多いので、違いを見分けるのが大変であるが、俺は1台の“赤“の自転車の前で足を止めた。自転車は鍵がかかっていた。俺は制服の上着のポケットから新品の自転車の鍵を取り出し、入れ込んだ。
ガチャッ
鍵はすんなりと鍵穴にハマり、回すと音を立てて盗難防止のロックが解かれた。
1発ビンゴ、これはラッキーだ。やはり主人公の直感というものは外れないのだ。樋口が犯人である、と根拠もなしに1番最初に発言したがこれもまた結果として外れていなかった。もし、樋口が俺の姉のおさがり自転車を今日のターゲットにしなかったら一生気づかなかったかもしれない。俺の正しければ“何も貼られてない“自転車が2台、この駐輪場にあるはずである。
つまりはこう言うことだ。樋口が盗んだのは鍵のついてない自転車3台と、新品の学校シール3枚だ。
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