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外に集まったのは、俺、店長、米道、樋口グループ3人の計6名だ。
俺は全員に見えるように波上のスマートフォンに携帯番号を打ち込んだ。
自分の携帯番号を打ち込むことは当たり前だが、新鮮だった。
そして、受話器のマークをタップする。これで電話がかかる。それはこの店のどこかで『運命』がかかったということだ。店の入り口付近では音は聞こえず、俺を先頭にゾロゾロと店の裏側に回った。裏にある駐車場は主に従業員用であり、バイトの生徒たちの自転車と店長の車がとまっていた。
こちらが大本命だったが、どこからも音は聞こえなかった。
「食い逃げだッ!」
後ろから店長が叫んだのが聞こえた。
えっ!?
と思って後ろを振り向くと、米道と店長しかおらず、本来その後ろについてきているはずの樋口グループの姿はなかった。
食い逃げとは樋口グループのことだった。
店長さんは追いかけようとはしなかった。
樋口グループは自転車で逃走したため、走っても追いつけないと判断したからだ。
「ったく。なんなんだ今日は。てめえといい食い逃げ3人といい。」
俺と食い逃げ犯を同列に扱うな窃盗犯。
「探偵さん、音は?」
そうだ、食い逃げで一瞬思考停止したが音はどこにもしてない。これは一体どういうことだ。
俺は波上のスマートフォンで再びGPSを確認する。確かにこの店に俺の自転車は来ているはずだ。
ところがGPSはこの店から100メートルほど移動していた。
米道が俺のスマートフォンを覗き込む。
「うん、犯人はあいつらで間違いないね。」
俺も同感だった。
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