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「何言ってやがる!俺が自転車泥棒?!どういう事だ。」

「そうだよ、探偵さん。店長さんはそんなことする人じゃないし、店長さんにメリットなんかないでしょ?」


「それは俺が聞きたいよ、米道。店長、あなたなんのメリットがあって、自転車6台も盗んだんだ?」


「6台!?」

米道と店長が同時に驚いた。

それがあまり嘘には見えず、もしかして姉のおさがり自転車だけ違うやつが盗んだのか?と一瞬疑った。


「5台じゃなかったのかい?探偵さん。」

「ああ、今日俺の姉のおさがり自転車が盗まれた。」

「いつ?」

「今日の放課後さ。」

「じゃあ店長には無理だ。店長は17時の開店に向けて、仕込みを行ってる時間だ。」

米道、そんなこと言ったら今日俺の姉の自転車を盗んだのはお前だと言っているようなものだぞ…。俺が放課後に自転車が盗まれた時に思ったのは、米道は店長の協力者というだけでなく、実行犯でもあるのではないか、ということだ。俺は米道がどんどん店長に協力している共犯者に見えてきて追い詰めている立場ながらに悲しくなる。

「じゃあ、米道。お前が俺の姉の自転車に乗ってここまで来たんだ。姉の自転車はわざと鍵をかけなかった。」

「何言ってんだ。俺は俺の自転車でここまで来た。2台一気に乗ったとでも言うのか?それに探偵さんの姉の自転車はともかく、探偵さんの頑張って買った自転車を俺が盗むと思うか?そんなろくでなしだと思うか?」

クッ、感情論は効かないぞ。確かにそうだ。米道は俺が自転車を買うまでの過程を知っている。坂火もだ。だからこそ、この2人のどちらかが犯人かもしれないと思った時、俺はこれ以上真相を追求するべきなのか迷いさえしたのだ。俺だって米道がそんな人間だとは思いたくない。しかし、それ以外の選択肢が思いつかないんだ。


「米道は昨日の段階で既に自分の自転車をこの店にとめていたのだろう。そして今日、姉の自転車に乗った。残りの五台は店長が駐輪場から裏門を通じて自動車でここまで運んできた。自動車は持ってますよね?」


「持ってるが…、お前は一体なんなんだ。無礼すぎるぞ!」

「探偵さん、裏門ってのは…?」

「米道には言ってなかったな。正門にビデオカメラを設置するのはLINEで言ったろ?その日、1年生の自転車と長岳先輩の自転車が盗まれたにも関わらず、正門には自動車も自転車を担ぐ人間も通らなかったのさ。正確には高橋先生の自動車が通ったが、放課後も学校にあって中に自転車はなかった。つまり、犯人は裏門から脱出したことになる。」


「裏門はねえだろ。いくらなんでも遠すぎる。」

樋口が笑いながらそう言った。

樋口グループは面白いものを見るように楽しそうにしていた。

樋口にも協力してもらうか。

「樋口、お前は良い証人になる。自転車が盗まれた1日目、お前は遅刻したな?」

「したな。」

「校門や駐輪場で誰かに会ったか?」

「会ってねえな。」

「自転車者が盗まれた2日目、お前は遅刻したな?」

「したな。」

「誰かに会ったか?」

「会ってねえな。」

「自転車が盗まれた今日、お前は遅刻したな?」

「したな。」

「誰かに会ったか?」

「会ってねえな。」


「そう。樋口は犯行が起こった日、全てで遅刻している。しかし、樋口が遅刻した時、樋口は誰にも会ってない。つまり犯行可能時刻は登校時ではなく、生徒の授業中ということに…。」





ん?ちょっと待て!

犯行が起こった日、全て樋口は遅刻している…!?犯行が起きなかった日は?




俺はもしかすると、重大な勘違いをしていたのかもしれない。

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