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波上は昨日は俺の思い込みだと言っていたが、今日は概ね俺の意見に同意であるらしい。裏門から駐輪場を往復するという行為を体育の時間帯に行ったから確実に何人もの生徒に目撃される。校舎の前を横切る行為も危険ではあるが、実際に盗難事件が発生していることから犯人は体育が無い4時間目の時間帯に犯行を行ったことが想定される。この日は4時間目を除く全ての時間帯で体育が行われていた事を考えると、体育の時間帯を把握している可能性は否定出来ない。むしろ、濃厚である。ここから俺が至った結論は、「名探偵部」部員の誰かが俺が正門にビデオカメラを設置すると言う情報を親にバラし、裏門を介して自転車泥棒を行ったということである。すなわち、犯人は「名探偵部」部員の保護者のいずれかだということだ。今からその部員に会いに行くわけだが、波上と相談してこのことは坂火と米道には言わないでおこうということで意見は一致した。これからの行動が筒抜けになる可能性があるからだ。俺としても部員を疑いたくはないが、現状この線が1番濃厚に思えてしまう。
「でも、昼間の狙った時間に来れる人ってどういう職業の人なんだろ。自動車を持ってる大学生とか?」
波上が俺の1歩後ろを歩きながらそう言った。
「部員に兄とか姉とかいたやついたか?」
思い当たる節があったのか波上は口ごもった。
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