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今日犯人が来ているのだとしたら4時間目の時間だろう。俺は4時間目の時間帯までビデオカメラの映像を早送りした。当然、自転車を担いで歩くようなやつがいたら早送りを止めるが、基本的に登校時間以外で正門を出入りする人物がいない。それこそ遅刻して自転車で来た樋口くらいだ。4時間目の時間帯は早送り速度を緩め、波上と2人で確認したがそもそも正門を出入りする人はいなかったが、1台少し色の禿げた青色の軽自動車入って来るのを確認し、ハッとして思わず映像を止めた。



「探偵さん、これって」

「今日、自転車盗難被害があったらコイツでビンゴだ。」

「先生の車じゃない?」

「先生の車の可能性も勿論ある。だから言ったんだ。“今日自転車盗難被害があったら“って。」

「じゃあ先生達が車止めてるところ確認してみたら?先生が犯人ならまだ帰ってないんじゃない?」


時刻は16時30分、仮にその車が先生の車ならまだ自転車は車の中か。


「今すぐ行こう。」


俺は手早く和田先生に鍵を返し、職員室を出ようとしたが、高橋先生に、呼び止められた。


「こないだあげた自転車のシールはちゃんと貼ってますか?」

「ああ、緑のシールですよね。貼りましたよ。」

俺は新しく自転車を購入したため、先日高橋先生からシールを受け取っていた。自転車のシールとは学校で義務付けられているシールだ。学年毎に色が違い、悪さした際に直ぐに学年がバレるらしい。また盗難時も役立つらしい。


「ならいいんですわ。盗難があったらしいから気をつけてください。しかも、1人はシール貼ってなかったらしいのよ。」

“1人は“というのが引っかかったが、俺は自転車が盗まれたことを先生たちに報告してないので居咲先輩の事だとすぐわかった。

「3年生の先輩の自転車が盗まれたらしいですね。早く犯人が捕まるといいです。」

「あら?私が聞いたのは1年生の自転車ですわ。しかも2人も!」

へ?どういう事だ?

「それはいつですか?」

「昨日1人と、今日1人ね。」

はい?昨日自転車を盗まれたのは俺含め3人ってことか?それに今日盗まれたってことはあの車は確実に犯人の車ってことになるぞ。

「鍵は付けてましたか?」

「それがね〜どっちも付けてたらしいわ。不思議じゃないかしら?」

「今日4時間目に校門から車が入ってきたと思うんですけど来客とかですか?」

「え?それは私ですけど?今日は外で用がありましてね。あなたがなぜそれを?」


!?

高橋先生が犯人か!?

いや、無駄な議論は要らない。証拠を差し出せば良い。

俺は高橋先生に挨拶も告げず職員室を飛び出し、玄関から勢いよく校舎を出た。職員駐車場に急いで向かうと波上は既に到着していた。そこにはビデオカメラに写っていた青色の軽自動車があった。

波上は既に中を確認したらしく、首を振っていた。


俺も車の中を覗いたが、そこには自転車はなかった。そもそも自転車3台入るほどの空間ない。後部座席にはチャイルドシートが設置されており、高橋先生にそんなに小さい子供がいたのか、という謎の新情報を得ただけだった。


おかしい。現時点で既に4台の自転車が盗まれている。そして3台は鍵付き。しかし、正門から出た車も人物も居ない。有り得ない。


「やっぱり犯人は来なかったみたいだね〜」

「いや、犯人は来た。今日も1年生の自転車が1台盗まれている。しかも鍵つきだ。さらに昨日も1台一年生の鍵付きの自転車が盗まれている。」

「えっ。」

「もしかすると、裏門から車で入ってきて自転車を盗んだのか?それならビデオカメラに写らない。」

「この学校が初見の犯人なら有り得るかもしれないけど昨日も自転車を盗んだんだよね。だったら正門から入った方がいい事わかるよね?裏門から入った場合、校庭に沿って校舎の横を突っ切って駐輪場まで行かないといけないよ。その後もビデオカメラに写ってないから近い正門を無視してまた、校舎の横を突っ切って裏門に戻らなきゃ行けない。これって体育とか関係なく目撃される可能性高くなるよね?」

「ああ、正門を使わず、裏門から危険を犯してまで使用しなきゃいけない理由。それはただ1つだ。俺がビデオカメラを正門付近に設置していることを知っている人物だけだ。俺がそれを伝えたのは“名探偵部の部員だけ“だ。」


自分で言っておいて少しゾッとした。







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