第85話 デジャブ?
「さっきの真珠ちゃん、今まで見てきたどんな時よりもおかしかった……」
「そうだね、何かに取り憑かれてるみたいだった……」
真珠ちゃんが飛び出していってしまったので、部屋にはりんさんと2人残される。
あんまり一対一で喋った事ないから気まずい……
「ど、どうする? う、歌う? ……歌わないよね!? ごめんね!?」
自分でも驚くくらい緊張してしまい、何を言いたかったのかも分からないグチャグチャな文が出来てしまった。
「……ど、どうする?」
「どうするも何も、お金勿体ないし、後1時間くらいはここに居ようかな」
「そ、そう……じゃあ私ご飯食べていい?」
朝から何も食べていないのでお腹がペコペコなのだ。
「え? まぁ、自分のお金で……」
と、りんさんは言うが、すぐにグ〜とお腹が鳴る、りんさんの。
「「………」」
お互いを見つめ合い、りんさんが口を開く。
「……私も食べる、ここのカラオケ何があるの?」
「え〜っとね……」
私はテーブルに置かれているメニューを開いた。
***
入院し始めた翌日、2人からそれぞれ電話がかかってきた。
『タッキー! 病気になったって瑠璃さんから聞きました! 何か辛い事があったらすぐに行ってください! 病院まで爆速でお見舞いに行きます!』
『うん、胃潰瘍だけど大丈夫だから、夏休みも残り少ないし、リシアがしたい事優先した方がいいよ』
『私はタッキーのお見舞いがしたいです。なので今からそこに行きます』
『えっ、良いよ別に。僕はい……』
「切れちゃった……」
とりあえずリシアがお見舞いに来る事になった。
リシアがお見舞いに来るのをベットの上で待っていたが、また電話がかかってきた。
『もしもし?』
『廉くん! 病気になったって聞いたんだけど本当なの?』
『本当だよ。心配してくれてありがとね』
『ううん、全然! 1人じゃ寂しいよね、今からお見舞いに行くから待ってて!』
『えっ、ちょt……』
「切れちゃった……」
デジャブだろうか、そうしてまた1人リシアに続いて琥珀さんがお見舞いに来ることになった。気がつけば、夏休みも残すところ後数日になってしまったが、僕の今年の夏休みは入院して終わりを迎えることになっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます