第82話 眩暈
「あら? これはどういう事かしら、りんさん。どうしてあなたが彼と一緒にショッピングに来ているのかしら?」
「別に良くないですか? たまには2人きりでショッピングしても」
「私には2人きりには見えないけど? あなたには菫さんが見えてないのかしら」
「見えてますよ、いないと思っているだけで」
「どういう事ですか!? さっきまで話してましたよね!?」
「まぁまぁ、3人とも落ち着いて! 廉君も何か言ってよ…廉君?」
「………あっ、ごめん、ちょっとキャパオーバーで」
普段なら5人の会話を聞いていても大丈夫なのだが、なぜか今日は3人でキャパオーバーしてしまった。体調悪い気はしないのだが、どこか悪いのだろうか。
そんな疑問を頭に残しながら、3人、瑠璃さんを入れて4人の会話は続く。
「それで今日は何を買いに来たのかしら、私達は彼のために勝負下着を買いに来たのよ」
「なっ! 真珠さん達もそうなんですか!? おかしいですね!? 本当に!!」
「あら、何がおかしいのかしら、好きな人のために可愛く着飾るのは普通のことでしょう?」
「そ、そうですけど…!」
みんなは僕には分からない女子の会話をしているため、その内にこの場から離れようとしたが……。
「廉君、どこか行くならついてくよ」
瑠璃さんに捕まってしまう。
すると、真珠達もこちらに気付き、逃げられないように周りを囲まれてしまう。
「どこに行こうとしてたのかしら、あなた」
「ねぇ、早くお店入ろうよ、廉くん」
「どのお店行くの? 廉君」
「もう帰りましょう、お兄ちゃん! ここにいるだけ無駄です!」
「ご、ごめん、ち、ちょっと、ヤバい……」
グルグルと目が回るような感覚がして、まともに立っていられなくなる。
体調が悪くなる予兆は無かったはずなのだが、現に今は体調が悪い。
そう考えて、さらに気持ち悪くなる。
「大丈夫!? あなた、大丈夫!?」
真珠にもたれかかるようにして倒れる。
倒れた後、何かされる事を心配する余裕もないまま、僕は気を失った。
新作書きました! 読んでください!
https://kakuyomu.jp/works/16818093074510775391
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