番外 クリスマス

サンタクロースはいない。

というか、欲しいものは全て手に入ったから、サンタさんに特別、何かを頼むという事がなかった。

もちろん、ウチにもクリスマスという文化はあった。

プレゼントはサンタさんからではなく、両親から貰うものだった。




***




一人暮らしの今となっては、クリスマスなんて関係のない話だと思っていた。

しかし…


「「「「「メリークリスマス! 廉くん!」」」」」


朝起きたら、なぜかみんなが家にいた。

もう驚くこともない、それがほとんど当たり前になってきている。


「メリークリスマス、みんな」


「あー…、プレゼントとか、買ってないや…」


どうせ、と言ってはなんだが、呼ばなくても来ると思い、どこかにプレゼントは買いに行こうと思って準備していなかった。


「大丈夫大丈夫! プレゼントは私たちがあげるから!」


「けれど、貰えるのは一つだけよ」


「私たち5人の中からね」


「……それで? そのプレゼントってのは?」


「さっきりんさんが言いました、5って」


「それって…」


「そうです、私たち自身がプレゼントです」


「リシアさん…」


これは…試されているのか?

こんな事しても僕の意思が変わる事はない。

けれど、彼女たちはそれを分かっていてやっているのだろう。

それなら、真剣に答えるしかない。


「それじゃあ、僕が貰うプレゼントは…」


彼女以外を選ぶなんて…

彼氏として、それはダメだろう。


「———————だ」

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