第74話 もう一度手を組んでもらえますか

「本当に申し訳なかったわ」


真珠ちゃんが廉くんと一緒にログハウスから出て行ってから帰ってきたのは真珠さん1人だけであった。

そして、帰ってきてから開口一番、何を言ったかと思えば、謝罪の言葉だった。

真珠ちゃんが廉くん以外に謝罪をするなんて思ってもいなかった私たちは驚いていた。


「え? え? 急にどうしたの、真珠ちゃん」


「聞いて欲しい事があるの、彼のことについて」




***




「彼は……滝山廉は……私たちの事を誰1人異性として見ていなかったのよ」


「え!?」


「は!?」


「う、嘘でしょ!?」


「Не могу в это поверить《信じられない》!!」


「悲しいけれど…本当よ…」


「え、じゃあ、私たちの中から選ぶ…ってのは? 嘘だったってことなの!?」


「落ち着きなさい、瑠璃さん。残念だけれど、それも建前だったみたいなのよ」


「真珠ちゃんのお父さんの前だったから?」


「えぇ、そうよ」


言葉としては分かってはいるのだが、自分が理解するのを拒否していた。

自分が選ばれないのかもしれないが、誰かしらは廉くんが選ぶという、確固たる希望があったから、何とか今まで過ごせていたが、それが今、この瞬間無くなってしまった。


「私が聞いて欲しい事はこれからよ。彼が私たちを誰1人異性として見ていない事は分かったわよね?」


「うん、……でも、廉くんがそう言ったのなら、私たちには…もう何も…」


「私はイラついたのよ」


「え?」


廉くんに何か言いたい事があるにしても、思っていもいない言葉が出てきた。


「え? イ、イラついた?」


「そうよ、どんな事をしても一向に異性として私たちの事を見てくれていない事が分かって私はイラついたのよ。だから…今更…だけれど…もう一度、私と手を組んでもらえますか?」


「ん? え? ど、どういう事?」


今までの真珠ちゃんからは想像も出来ない言葉の連続で私たちは話に置いていかれそうだ。

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