第63話 疑惑の判定

自分の部屋で起きたらリシアさんがいた。

というか一緒に寝ていた。

なぜ、今まで気づかなかったのかも謎だが、リシアさんと一緒に寝てしまった。

言葉だけで見ると、一夜の過ちとも誤解されそうだが、自分には全く覚えがないので、多分、一夜の過ちは犯してないだろう、多分。

このまま、この部屋にいると、朝からめんどくさくなることが目に見えているので、僕はリビングに移動して、そこにあるソファでその後を過ごした。




***



「ん? 今、何時だ?」


スマホを見ると、午前6時、起きるには十分な時間だった。

周りを見るが、誰もいない。

まだ、誰も起きていないのだろう。

誰も起きていないのなら、都合がいい。

僕は自分の部屋のドアを静かに開ける。

まだそこには、リシアさんが僕の布団ですやすやと眠っていた。

今、起こりうる状況として、一番最悪なものが、


①リシアさんが自分の布団で寝ているのを真珠たちにみられる。

②リシアさんが自分の部屋から出るのを真珠たちにみられる。


この二つがあげられる。

なので、僕がすべきことは、

リシアさんを起こし、誰にも見られることなく、自分の部屋から出すことだ。


「ㇼㇱァさん…リシアさん、起きてください、朝ですよ」


そう言って少し待つと、リシアさんから反応があった。


「…………………あと五分だけ、五分だけお願いします」


反応があったと思ったら、また、眠りについてしまった。

そこから、10分間、起きるのをごねる、リシアさんとの戦いが続いた。


「おはようございます、リシアさん」


「お、おはようございます、滝山君」


「まず、聞きますけど、どうして僕の部屋で寝ているんですか?」


「忘れたんですか? 昨日のこと?」


「昨日のこと? 何かありましたっけ?」


「あんなに激しかったのに……忘れてしまったんですか?」


もしかして、僕は知らないうちに一夜の過ちを!?

ただのクズじゃないか!?

全神経を脳に集中させ、急いで、記憶を掘り返す。

が、全く思い出せない。

リシアさんが集中している僕を惑わすように耳元で囁いてきた。


「Пожалуйста, возьмите на себя ответственность?《責任取ってくださいね?》」

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