第60話 海の家でのバイト⑨
その後、別に自分のお金で払っても良いことに今更ながらに気付いた僕たちは、メインの食材は3万円の中から出すとして、もしも、それ以外にも食べたいものがあるというならば、各自、自分のお金で払うことになった。
***
「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」
スーパーから帰ってきた僕たちは、りん先輩、リシアさん、それと自分の3人で夕飯を作った。
「この後は…お風呂ね……」
「「「「っ!!!!」」」」
「このログハウスのお風呂ってどんな感じだったっけ?」
お風呂があるということは知っていたが、どのようなものかは見ていなかったので、みんなに聞くと、瑠璃さんから返答が返ってきた。
「私、どんなお風呂か気になって見たんだけど…」
「瑠璃さん、どんな感じでしたか?」
「じゃあ、一緒に入って、確かめようか!」
「えっ!」
「瑠璃さん! 誘惑しない!」
一緒に行こうと言わんばかりに差し出してきた手を真珠が叩き落とす。
僕が驚いているのもつかの間、真珠がすぐに瑠璃さんを叱った。
「……ところであなた、私と一緒に入らないかしら?」
今さっき、瑠璃さんを『誘惑しない!』と叱ったばかりなのに、真珠には少し前の自分を思い出してほしい。
「………ちょっと、自分で見てくるよ」
このままでは埒が明かないので、真珠を無視し、自分でどんなのか、自分の目で確かめようと立ち上がると、真珠に座りなおされた。
「どんなお風呂か見に行きたいんだけど? 真珠?」
「私を無視するとはいい度胸をお持ちね、あなた、私を無視してもいいのかしら?」
「ん? それはどういうことだ?」
真珠が耳元に顔を近づけ、小さな声で囁く。
「すでに1回、私の裸を見ているのに、何を恥ずかしがるようなことがあるのかしら?」
「!!!」
すっかり忘れていたが、僕は真珠の…、いや、関係ない。今は関係ないんだ。
「そ、そんなこと…あったっけ…?」
「あら、忘れたのかしら? なら、思い出させてあげるわよ」
「し、真珠ちゃん!?」
真珠が突然、服を脱ぎ始めた。
「ちょ! 真珠!? どうして!?」
「どうしてって…あなたが言ったからよ。忘れてしまったのなら新しく記憶させればいいでしょ?」
「わっ!」
誰かが僕の目をふさぎ、視界が閉ざされる。
「何急に脱いでるの!? リシアさんはそのまま廉くんの目をふさいでおいて!」
「了解です、瑠璃さん」
「琥珀さん! そこにある服取って!」
「は、はい!」
「りんさんは!…お皿片付けておいて!」
「え? は、はい」
りん先輩だけ真珠と全く関係のないことだったのだが、リシアさんの手がどかされると、そこにはきちんと服を着ている真珠がいた。
「何よ、服を脱いじゃだめっていうの?」
「場所を考えてください! 二人きりならまだしも、私たちもいるんですから!」
「分かったわよ、二人きりならいいんでしょ、あなた、あとで部屋に行くからね」
「来なくていいから! カギ閉めるから!」
「このログハウスの部屋に鍵なんてついてないわよ」
「知ってるよ! 少し諦めるかと期待したのが馬鹿だったよ!」
その後、僕が一番最初にお風呂に入ったのだが、次に入ったリシアさんのお風呂の時間が異様に長かった。
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