第56話 海の家でのバイト⑤

「お、夫? か、彼氏とかじゃなくて…?」


誰もが真珠の夫という発言に驚く中、真珠は気にすることなく話を続ける。


「えぇ、夫よ。だから、私は彼の妻よ。彼は嫉妬深いから、私があなた達と話していると、彼のイライラが止まらないのよ。これ以上話していると彼がストレスで爆発しそうだから、そろそろいいかしら? ね、あなた?」


真珠がこちらを向き、『そうよね?』と言わんばかりに首をかしげてくる。

話を合わすしかなく、頷く。


「で、でも!」


納得がいかないのか、一人が突っかかってくる。


「俺たちと同じくらいの年で、け、結婚なんて…」


「そう、信用できないのね。じゃあ、これを見てもらえるかしら?」


真珠がスマホを取り出し、その画面を見せる。

瑠璃さんたちも近寄ってきて、全員でスマホの画面を見る。


「「「「「「「これって…!」」」」」」」


真珠が見せたスマホの画面には驚くものがうつっていた。


「真珠…これって…」


「そうよ、これは婚姻届けよ」


画面にはすべての欄がきれいに埋まっている婚姻届けがうつっていた。


「じ、じゃあ、本当に、二人は…」


「さっきから何度も言ってるでしょ、私たちは夫婦なの」


「………」


「もう何も質問はないみたいね。それじゃあ、ご注文をどうぞ?」


「あっ、それじゃあ、焼きそば4つ、コーラ2つとメロンソーダ2つ」


完璧に脈がないと判断したのか、すぐに注文をしてくれた。


「ご注文を繰り返します。焼きそば4つに、コーラ2つ、そして、メロンソーダが2つですね? 少々お待ちください」


注文を取った真珠だったが、それを伝えるために厨房に戻るのだったが、瑠璃さん並びに自分も含めた全員が厨房に戻っていった。




***




「ねぇ、どういうこと!?」


「婚姻届けって、いつの間に!?」


「二人とも早く言ってくれたらよかったのに~」


厨房には今、自分も含めて7人いるが、地獄みたいな光景だった。

瑠璃さんたちは真珠にどういうことかと詰め寄り、甘楽さんに関しては何かを勘違いしている様子だ。


「真珠、あれはナンパしてきた客を諦めさせるためについた嘘だよね?」


「えぇ、そうよ。本音を言うと、本当になってくれればいいのだけれど、あなた、結婚してくれないかしら?」


「それは…今は断るけど…。あの婚姻届けは何なんだ?」


「「「「私も気になる!」」」」


瑠璃さんたちも口をそろえて言う。


「あれは…もしかしたら、いつか、あなたがプロポーズしてくれたら、すぐに出しに行けるように準備していたのよ」


「………」


自分が真珠にプロポーズする可能性なんてあるかも分からないのに、すでに準備してあることに、僕は言葉を失うしかなかった。


「もちろん、今も持ってるわよ。ログハウスに戻ればあるわよ」






初めてAIイラストメーカーを使って生成してみました!

第23話のリシアさんと料理を作ってくれている(勝手に)真珠です!

ぜひ見てみてください!


料理中の真珠

https://kakuyomu.jp/users/makimaki0318/news/16817330664013252890


第23話のリシアさん

https://kakuyomu.jp/users/makimaki0318/news/16817330664013754225

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