第53話 海の家でのバイト②
「それじゃあ、まずは共同リビングね。ここは特に何もないわ。テレビとか好きな時間に使っていいらしいわ」
「じゃあ、次は私ね」
「瑠璃さん…交代で説明するんですか?」
「洗濯機は二台あって、順番で使ってだって。お風呂も同じね、順番で入ってだって」
「そ、それじゃあ、私か…、キッチンは好きに使っていいらしい、そして食事代は甘楽さんが出してくれるらしいけど、自分たちで買い物はしてくれだって」
「今日の分の食材はあるから安心してね」
キッチンにいた琥珀さんに言われる。
「それで、このまま説明続けちゃうけど、部屋はこっちね」
琥珀さんについていくと階段を上り、ログハウスの二階につく。
そこには六つのドアがあった。
「私たちはまだ部屋を決めてないから、この六つの部屋から好きな部屋を、廉くん、選んでいいよ」
「えっ…僕が最初に選んでいいの?」
僕が今思っているのは、最初に選んでいいと言われ、喜んでいるわけでなく、一番後に来た自分が最初に選んでいいのかという疑問だ。
「もちろん! 廉くんが部屋を決めた後に私たちが決めるって決めてたから、安心して好きな部屋を選んで」
「それじゃあ…」
そして、僕が選んだ部屋は階段を上がって、右側の一番奥の部屋にした。
「……それでは、最後に私です」
先ほど決めた部屋に荷物を置き、リビングに戻ると、次はリシアさんが説明をするらしい。
「今回の海の家でのバイトは一週間泊まり込みのものです。これはもうお分かりですね」
「はい、分かっています」
「働く時間ですが、朝8時30分前くらいに海の家に来てくださいとのことです。その日使う食材や、道具などを持ってきたりするそうです。そして、9時30分ごろから開店です。私たちの仕事は基本、注文の配膳ですが、もしかすると、甘楽さんの手伝いでフードを作ることがあるかもしれません。それでですが…フードを手伝ってと言われた場合は誰が手伝いましょうか?」
「私がやるわ」
「私も!」
オブラートに包むが、あろうことか、あまり料理を得意としない、真珠と瑠璃さんが手を挙げた。
「ちょっと待って! 二人とも…料理できたっけ…?」
すると、二人は声をそろえて言った。
「「もちろん! 料理は私の得意分野だよ!」なのよ」
そう言ってきかない、二人を何とか納得させ、フードの手伝いは、僕、りん先輩、リシアさんの三人になった。
「最後に海なので当たり前ですが、ナンパが多いので、女の子は気を付けてと」
確かに海にはナンパ目的で来る、人も少なくないだろうから真珠たちは気を付けないといけないだろう。
「あ、あと、最後に一つだけ。休憩中は海で遊んでもいいとのことなので、皆さん、水着は持ってきましたよね?」
「「「「もちろん」」」」
「まぁ…」
海に来て、泳がないのもなんなので、一応水着を持ってきていたが、案外みんなも持っているのだな、と思った。
僕はその真意に気が付かずに…
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