第49話 廉くんのお母様
「あら~、廉が招待したのはあなた達ね~」
バーベキューも中盤に差し掛かったところ、最初の方は廉くんの家族と真珠さんの家族が楽しそうに話していたので、招待された身の私たちは静かにお肉を食べているしかなかったが、廉くんのお母さまが私たちに話しかけてきてくれた。
「……え~っと、ごめんね、まだ、誰が誰だかわからないのよ、自己紹介してもらえるかしら?」
そういわれた私たちは、順番に自己紹介をした。
「日高瑠璃です。廉くんの隣に住んでいます。これからよろしくお願いします」
「田原りんです。廉くんのバイト先の先輩です。廉くんはいつもバイトで私を手伝ってくれて、本当にやさしい人です」
「高浜琥珀です。廉くんとは同じクラスです。初日に告白しましたが、振られちゃいました」
言葉を間違えた。ほかの二人は廉くんに関することを言っていたが、私は特に何も言わずに、よろしくお願いしますとだけしか言わなかった。この差をどこかで埋めないと。
「瑠璃ちゃんに、りんちゃん、そして琥珀ちゃんね。廉が女の子を招待するのなんて初めてだから、ぜひ楽しんでいってね。ところで…廉はあなた達のことどう思ってるの?」
チャンスだ。ここでアピールするしかない。廉くんを落とすにはまず外堀を埋めていこう。
「廉くんが私たちのことをどう思っているかは分かりませんが、私は廉くんのことが大好きなので! いつでも結婚する準備はできています!」
「わ、私だって! 廉くんのことが大大大大大好きですし! いつだって、廉くんの子供を産む覚悟はできています!」
「え、えっと、私は、廉くんのことが大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大好きですので! 廉くんに対する思いはだれにも負けないくらいあります!」
「あら~、廉はこんなにも思ってくれる人達がいるのにまだ好きな人がいないの? もう、後で早く好きな人を作りなさい!って言っておかないとね!」
「「「ほんとうですか!?」」」
「そろそろ、廉には結婚する人を本格的に決めてもらわないと困るのよねぇ。もちろん、廉自身に決めてもらうけど、結婚しないのは大問題だから、誰かしらは選んでもらいたいのよね。親としても安心したいし」
「なら、私が!」
「ありがとね、瑠璃ちゃん、そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど、これは廉が決めることだから。私じゃどうしようもできないのよ」
「そう…ですか…」
「ごめんね、せっかくの楽しいバーベキューなのに暗くしちゃって。…気を取り直して、これからも廉とよろしくね。さぁ、まだまだ食べ物はあるから、どんどん食べてね!」
そう言うと廉くんのお母さまはどこかへ行ってしまった。
「廉くんと結婚するのは絶対に私! この世界中の誰よりも廉くんのことを愛している私こそが廉くんのお嫁さんにふさわしい! 琥珀さんにもリンさんにも負けないから!」
「い~や、廉くんと結婚するのは絶対に私だから、瑠璃さん、あなたなんかに絶対に廉くんは渡さないから! 後、りんさんにも!」
「わ、私だって、廉くんのことは誰よりも愛している自信はあるし、絶対に他の皆には負けない! 廉くんと結婚するのは私だから!」
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