第45話 地雷系女子は怖い!

「琥珀さん…ここって…」


「そう! コスメショップ!」


りんさんが自信をつけられるように連れてきたのはコスメショップだった。

見たところりんさんはメイクをしていないようだし、いい機会だと思った。

メイクに関して1つ不思議なのが、学校ではメイク禁止なのに、成人して社会に出たらメイクは社会人の基本だということ。学校は社会の縮図のはずなのにおかしいことだ。


「りんさんって、メイクしてる?」


「いえ、メイクは…」


思った通り、りんさんはメイクをしていないようだが、メイクをしてなくてもりんさんは十分というか顔面偏差値がとても高い。

ということは…メイクをすればもっと可愛くなれるのだ。


「これ…とかどうかな?」


メイクの知識はそれなりにあると自負しているので、りんさんに似合いそうな物を取り繕い、使用感を試してみる。


「とりあえず、このくらいでいいかな…あとは私のを使えばいいし」


「あ、あの!」


「うん? 何?」


「流石に買ってもらうのは…」


「いいよいいよ、これは私からのプレゼントだと思ってくれればいいから」


「でも…」


「いいの! さっきチーズケーキ奢ってもらったし、気にしないで!」


「……それじゃあ…お言葉に甘えて」


「うん! そうしてそうして!」


コスメショップに行った後は服屋などを回っていた。りんさんも最初よりも自信を取り戻したようで、前と同じような口調に戻って、良かったのだが…


「あれ? 琥珀ちゃん?」


「え〜、本当? あっ! 本当だ! 琥珀ちゃんじゃん!」


偶然なのだろう、クラスの中で1番のイケメンと言われている、テニス部の男子と…いつも付き添っている男子の2人組に遭遇した。


「あっ…こんにちは…」


「偶然ってあるんだねー、ビックリしちゃったよ」


「隣の子もめっちゃ可愛いね! 名前はなんて言うの? てか、LINEヤってる?」


「田原りんです…」


「田原りんちゃんね、りんちゃんって呼ぶね! よろしく!」


「よろしく…お願いします…」


「それじゃあ…私たちはこれで…」


この2人に関わっているとろくなことにならない、そんな気がしてならなかった。


「ところでさ、このあと暇? 男2人で暇だったんだよねー」


「いえ、遠慮しておきます」


「もしかして、滝山と待ち合わせでもしてる?」


「っ! どうして彼を!?」


「いい反応するね! バレバレだよ。琥珀ちゃんが滝山のことが好きなのなんて」


「………」


「それでも、滝山は振り向いてくれないんだろ? だからさ、そんな朴念仁みたいな奴よりも俺にしない? 滝山よりも俺の方がカッコいいと思うけど?」


その言葉を聞いた途端に私の中で何かが弾けた。

そして、私はその男の胸ぐらを掴み言った。


「テメェ、ちょっとつら貸せよ」

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