第42話 高校生は下半身に脳がある
「ねぇ、今日も早く帰っちゃうの? たまにはどこか寄り道して帰らない?」
「琥珀さん。今日もバイトなので…すみません。また今度に…」
最近の廉くんはいつもこんな感じだ。
学校が終わってどこかに遊びに行こうと誘っても、バイトがあるから、という理由で断られてしまう。真珠さんに本当にバイトをしているかを聞いていて、実際にバイトに行っていると聞いているので廉くんが嘘をついて私から逃げているわけではないので、そこは信用しているのだが、バイト先のコンビニにはりんさんがいる。
もちろん、毎日シフトが同じみたいな事はないと信じているけど、もしかしたら、何かバイト先で進展があったりしたら、それは大問題だ。
私たちは手を組んでいる?のだが、誰かが抜け駆けして裏切っても何もおかしくはない。
そうならないためにはどうすれば良いか…
「誰よりも先に、廉くんに選んで貰えば良いんだ!」
選んでもらうにはどうすれば良いか…
「よし、廉くんの家に行こう!」
私は思い立ったら、すぐに行動するタイプなので、帰りの支度を整え、教室を出ようとしたら…
「琥珀さん、今日、部活が休みで暇なんだよね。俺と一緒にカラオケでも行かない?」
私と廉くんのクラスで1番カッコいいと言われている、テニス部の男子が話しかけてきた。
「ごめんなさい。今日、予定があるので…」
前々から自分が一番カッコいいと思っていて、自分なら何をやっても許される、みたいな感じが気に食わないのだ。後、この世界で1番カッコいいのは廉くんだから!
「いいじゃん、予定なんて、俺とカラオケでもした方が楽しいと思うけど?」
「いえ、本当に大事な予定があるので、すみません…」
すぐに諦めるとは思ってなかったが、
「……大事な用事があるなら、仕方がない。じゃあね、琥珀ちゃん」
案外、すぐに諦めてくれたが、私は挨拶も返さずに教室を後にした。
***
琥珀さんが出て行った後の教室では何やら不穏な空気が漂っていた。
「おい、話とちげーじゃねぇーかよ、琥珀ちゃんと遊べるはずじゃなかったのか?」
「今日は大事な用事があるらしいからね…しょうがないよ」
「俺にかかれば、どんな女も落とせる、とか言ってたけど嘘だったのか?」
「嘘じゃないよ、怪しまれないように引くのも作戦の内さ。でも、ちょっと違ったかな?」
「ん? 何がだ?」
「琥珀ちゃんは、いかにも地雷系だろ。ああいう女はイケメンであれば、誰でも惚れやすいんだよ。だから、いけると思ったんだけどね…」
「そうなのか…まぁ、独り占めだけはしないでくれよ?」
「もちろんだよ。ヤることヤったら、お前にも回してやるから、気長に待っとけ」
「おう、なるべく早くしてくれよ」
「あぁ、必ず堕としてヤる」
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