第33話 何で余計なことを言ってしまうのだろうか

「彼女はここで消す」


みんなの静止を聞くことなく、どんどんリシアさんに迫っていく。

流石にそれはダメだ。


「………どうして邪魔するの? あなた? 彼女はあなたを誘拐まがいのことをした。しかも2回も!」


僕は真珠とリシアさんの間に割って入った。


「それでも…それでも! それはダメだ。人殺しはダメだ…」


「あなたはそう思うかもしれないけど、私は違う。一度やらかした人間はもう一度やらかすのよ」


なぜだろう…すごい説得力がある。


「けど…それでもダメだ。もしもそんなことしたら僕は真珠を一生軽蔑する」


「そんな! 何で!? 私は! あなたのことを思って…」


「僕はそんなことを望んでない。真珠、その手に持ってる包丁を置いて」


「………」


堪忍したのか真珠が包丁を離してくれた。

その時ちょうど外から誰かが入ってきた。


「ちょっ! 早いよ! 真珠ちゃん!」


「る、瑠璃さん!?」


「………廉くん、無事みたいだね」


今更だが、僕を1番最初に眠らせたのは瑠璃さんなんだよな…


「とりあえず、リシアさん、さっき何を言おうとしたの?」


「えっ、………あなたたちと手を組みたいです」


「イヤよ、あなたとは手を組みたくないわ」


リシアさんがそう言った瞬間、真珠がそれを拒否した。


「し、真珠ちゃん! どうして!?」


「イヤなものはイヤよ」


「別に協力者が増えるからいいんじゃない? 真珠さん」


「簡潔に言うわ。私はまだ彼女を信用してないの」


「でも、瑠璃さんと私の2人、けど真珠さんは1人。多数決では負けてるわよ」


「………いいわよ。手を組むんだったら勝手にすれば」


人数不利で諦めたのか、真珠はやや適当に返事をした。


「私はあなたをまだ信用してないからね! それだけは覚えておきなさい!」


「………わかりました。私がヤったことは許されることではないですが、真珠さんに認めてもらえるように頑張ります」


「そういえば、瑠璃さん」


「ん? な、なぁに? 廉くん?」


急に話を振られたせいなのか瑠璃さんは明らかに動揺していた。


「僕を1番最初に眠らせたのは瑠璃さんですよね。どうしてですか?」


「えっ!? え〜っと〜」


「早く言いなさいよ、瑠璃さん」


真珠が瑠璃さんをそう急かす。


「はい。廉くんと1日2人だけで過ごせることになって、誰からも邪魔されずに一晩過ごせると思ったらテンションがあがっちゃって…」


「眠らせて襲おうと思ってました…」


「………ま、まぁ、今回だけは許しますが、次はないですからね」


流石に2回目は僕でも許せない。2度とこんなことが起きないように僕自身も気をつけないと。


「はい、今回はこれで終わり!」


「そうだ! 私、晩御飯作りに来たんだった!」


琥珀さんが思い出したように言う。


「廉くん、何食べたい?」


「え〜っと、僕はもう食べたので…」


リシアさんに口移しでなんて言ったら、この場が荒れるのが目に見えてる。


「………どうやって?」


「はい?」


「だって、私が来た時には廉くん、椅子に縛られてたから、腕とか手までに完璧に…」


「それは私が口移しで…」


「「「は!?」」」


リシアさん…なんで言っちゃうのかなぁ〜

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