第30話 ヤりたいのは同じ
「はぁ、滝山くんに本当は起きていて欲しかったけど、しょうがない」
私は滝山くんを縛った縄をほどいて、滝山くんをベットに移動させようとしていたら…
ガチャっと、突然鍵が空き、誰かが入ってきた。
「廉く〜ん、晩御飯作りにきたよ〜」
この女は確か…
「えっ! だ、誰!? 何で廉くんが椅子に縛られてるの!?」
「え〜っと、あなた手伝ってくれない? 彼が椅子に縛られてて、ほどいてあげないと」
「う、うん」
彼女は私の指示に素直に従ってくれた。
「よくこんな絡まってるのに、ほどき方が分かったね」
「え、えぇ、まあね、昔から絡まってるものをほどくのが得意だったのよ」
「そ、そうなんだ…」
「とりあえず、ベットに移動しましょう。彼、寝ているみたいだし」
「う、うん」
2人で彼をベットに移動させた。やっぱり2人だと楽だ。眠っている高校生2人をホテルに連れて行く時は本当に死ぬかと思った。
「それで…あなたはどうして廉くんの家にいるの?」
「え〜っと、私は彼のクラスメイトで…」
「え? どういうこと? あなたが廉くんのクラスメイトなら、必然的に私ともクラスメイトだと思うんだけど、私はあなたを見たことがない。クラスの人は一応全員覚えているから、何かの間違えということもない。あなたは一体何者なの?」
そうだ思い出した! 彼女は高浜琥珀、滝山くんのクラスメイトだ! まずい、つい咄嗟にクラスメイトと言ってしまった。どうしよう…眠らせてしまうか…
「………」
「ちょっと、答えてよ! あなたは誰?」
「日高真珠…」
「え?」
「遠野瑠璃…」
「ちょ!」
「田原りん…」
「ちょ! ちょっと待ってよ!」
「そして高浜琥珀さんですね」
「ど、どうして私の名前を…」
「私はあなたたちと手を組みました。荻リシアです。申し遅れてすみません」
「何だ! 仲間なのね! 早く言ってよ! もう!」
どうやら、信じてもらえたようだ。危なかった…
「それで…どうして、廉くんは眠ってるの?」
「………私にも分かりません。家に来たら滝山くんが椅子に縛られていて…」
こうなったら、一時的にだけど、彼女をうまく利用しよう。
最初にヤれれば私の勝ちだ。
「いったい誰がそんな酷いことを!」
「本当に…そうですよね」
「「でも…」」
彼女と私の言葉がシンクロする。
「滝山くんが無防備に寝ていると思うと…」
「廉くんが…無防備に…眠ってる…」
彼女と目を合わせる…
ヤるべきことは同じようだ。
私たちは寝ている彼に近づき…
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