第29話 Я ждал в это время

「………リシアさん」


「何ですか? 滝山くん、もしかしてトイレですか?」


「違います、真珠と瑠璃さんはどうなっているんですか?」


「………」


「まさか…本当に…」


「い、いや、多分死んでないですよ…多分…」


「真珠たちは僕の大切な…」


「大切な…なんです? 滝山くんの大切な人は私1人だけで十分です」


さっきまでの焦りが打って変わって、もの凄い圧に変わった。


「………生きてはいるんだよね」


「………正直に言うと分かりません。長く眠ってもらうために強めの薬を使ったので…」


また戻った。けど2人の安否が本当に心配だ。けど、今の僕には悔しいがどうすることもできない。


「私は2人の生死よりも滝山くんの精子の方が大事ですけどね」


「………」


なんて返すのが正解か分からず、黙り込んでしまう。


「さぁ、ご飯を食べたら、歯磨きをしましょう」


リシアさんが洗面台に行き、僕の歯ブラシを持ってくる。


「滝山くん、お口を開けてください」


「……………んあ」


下手に抵抗すると、何が起こるかわからないので、リシアさんの指示に素直に従う。


「はい、綺麗になりました。滝山くん、この歯ブラシどのくらい使ってますか?」


「えっ、1〜2ヶ月ぐらいですかね…」


「じゃあ、もう変えたほうがいいですね。これ捨てておきますね」


リシアさんはそう言いながら、あらかじめ持ってきていたにだろうかジップロックにその歯ブラシを入れた。


「リシアさん…何でジップロックに入れるんですか? 捨てるなら、ゴミ箱に…」


「あぁ、私の家に持ち帰って捨てるので安心してください」


何だ…リシアさんの家で捨てるのか、それなら安心だな…ってなるわけないだろ! どう考えても家で捨てなんかしないでしょ!


「リシアさん、それ…絶対家で捨てないよね?」


「………バレましたか」


そう言いつつもジップロックにしまわれた僕の歯ブラシはリシアさんのカバンの中に入ってしまった。


「あんまりうるさいと眠らせちゃいますよ」


「………」


「いい子です。それじゃあご飯も食べて、歯も磨きましたし、そろそろシましょうか。今日は寝かせませんよ」


「ほ、本当にそれだけはやめよう! 本当に!」


「もう、うるさいと眠らせちゃうってさっき言いましたよね」


「本当に! それだけは! それ以外だったら何でもいうこと聞くから! お願い!」


「それ以外だったら…じゃあ私とヤりましょう」


「言い方変えればいいってもんじゃない!」


「もう、しょうがないですね。起きたままヤりたかったですけど、そこまで反対されるなら…」


リシアさんが僕が座ってる椅子の後ろにきて、僕の口元にハンカチを当てる。


「Спокойной ночи《おやすみなさい》」


「リ…シ…ア…」










Я ждал в это время《このときを待っていた》













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