第28話 メッセージに謎解きなどいらない

やられた。なぜあの時水を飲んでしまったのか。一度警戒はしたのに、未開封ということを確認して馬鹿正直に飲んでしまうなんて一生の不覚!


「ん?」


ベットの上に何か紙が置いてある。


起きましたか?

結構強めの薬を使ったので、2度と起きないかもしれませんが、これを見ているということは起きれたということですね。まぁ、どっちでもいいですが。

一応、瑠璃?って人の場所を記しておきます。

そのまま放置でも良かったのですが、滝山くんに怒られそうなので、一応書いておきます。

まず、この部屋の棚を開けてください。

そこにもう一枚の紙がありまって謎解きやってもいいんですけど、

Потому что это хлопотно《めんどくさいので》

この部屋のクローゼットを開けてください。

そこに瑠璃?って人はいます。生きてるかは知りません、あなたに使った薬よりも強いの使っちゃったんで、生死がどうなってるかは私にも分かりません。

それじゃあ、これから私は滝山くんの童貞を貰うのでここらへんで終わりにしときます。


私は最後まで読み終わるとその紙を無意識のうちにぐしゃぐしゃに握りつぶしていた。


「………リシア、瑠璃さんや琥珀さんよりも手強い女ね」


私は部屋にあるクローゼットを開ける。

そこにはまだ眠っている瑠璃さんがいた。


「瑠璃さん…瑠璃さん! 瑠璃さん!!」


いくら瑠璃さんの名前を呼ぼうと全く起きない。


「バシッ!」


瑠璃さんの頬を叩いてみるが、まだ起きない。


「もしかして…本当に死んだのかしら? 死んだなら…しょうがないわね、蘇生みたいな魔法は使えないし…諦めるしかないわね。ふふ、1人減ったわ。でも、最後に…」


今までに盗聴して手に入れた彼の音声を再生する。


「……………………廉くん!」


「あら、生きてたのね。残念だわ」


「今、残念っていった!?」


「あら、何のことかしら、そんなこと言ってる暇はないわ、彼を救わないと」


「廉くんは!? 廉くんはどうしたの!?」


「そうだ、あなたにも聞かないといけないことがあったわ」


「あなた、寿司屋で何をしたの?」


「………」


「沈黙は何かあったと判断するわよ。何があったの? 言いなさい」


「廉くんを眠らせて…襲おうとしました…」


「はぁ、そういうことだったのね。それは後でまた改めて話を聞くとして。それで彼を眠らせたはずなのに、どうしてあなたがここで眠っているのかしら?」


「それは…眠ってる廉くんを肩に担いで、家でシようと思って帰っていたら…」


「いたら…どうしたの?」


「後ろから急に口にハンカチ?か何か押し付けられて、そのあとは記憶がないです…」


「そういうことだったのね…」


まだリシアがどうやって気を失っている2人の高校生をここまで連れてきたのかは疑問が残っているのだが、とりあえず、彼を探し出さないと…今度は本格的にまずい。早くしないと本当に彼の童貞があのロシアン女に奪われてしまう。

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