第26話 ヤンデレの最大の敵はヤンデレ
「それじゃあ、早く瑠璃さんの居場所を教えてもらおうかしら」
「………」
「急に黙ってどうしたのかしら?」
「あの…その…えっと…」
「グダグダしないではっきりと喋ってもらえるかしら」
「わ、私、滝山くんがいないと…上手く喋れなくて…」
「なら、どうして彼を部屋から追い出したのよ」
「………だって、滝山くんには、聞かれたくないから…」
「というか、おかしいことが多すぎるのよ、彼は瑠璃さんと行動をしてた。だけど今ここにいるのはあなた。どういうことなの?」
「………えっと、この盗聴器覚えてますか?」
リシアさんがバックの中から出した盗聴器には見覚えがあった。
「それ…私の…」
最近、何度も盗聴器を仕掛けてもすぐに使えなくなり、彼が見つけてすでに処分されてしまったと思っていた。
「あんな分かりやすい場所に仕掛けちゃダメですよ。すぐ見つかって使えなくなっちゃいますよ」
「………」
「Еще нет《まだまだですね》」
私はロシア語が分からないので、彼女が何を言ったのかは分からなかったが、馬鹿にされてることを言われてるのは分かった。
「何度も何度もカメラや盗聴器を仕掛けてもすぐに見つかるとこじゃだめですよ」
「そういうことだったのね…」
「私に見つかっちゃいますから」
「………あなたね! あのカメラは!」
「あぁーやっぱりバレてましたか、私もまだまだですね。もっと見つからない場所に隠さないと」
「なら、私たちと手を組まない? それなら別に何を仕掛けても何も言わないわ」
「イヤです」
「えっ!」
「私は滝山くんにまとわりついている悪い虫を払いたいんですよ」
リシアさんが私に向かって指をさす。
「あなたみたいな、ね?」
「みんなで仲良く、滝山くんを幸せにしよーとか、生ぬるいこと言ってる時間なんてないんですよ。滝山くんを幸せにするのは私1人で十分です。あなたたちと手なんか組みません」
バックからペットボトルを取り出して、私に向かってそれを差し出した。
「どうぞ、お水です。飲んでください」
「いいわ。何か入ってるかもしれないし」
私はそれを受け取るのを拒否する。睡眠薬とかがはいっていたら、この女の思う壺だ。
「じゃあ、開けてみてくださいよ。未開封ですよ?」
そのペットボトルを受け取り、キャップを開ける。カチッと音が鳴り、確かに未開封だったということがわかる。
「未開府だったでしょ、どうぞ、飲んでください。私は敵に塩を送る優しい敵なので」
「それじゃあ…」
渡されたペットボトルの水を飲む。
その瞬間、リシアさんがニマッと笑った。
「………やっぱり、甘々ですね。糖尿病になりそうです」
「っ! あなたやっぱり!」
「もう遅いです。お休みなさーい」
そう言ってあの女は部屋から出ていった。
流石に睡眠薬には勝てず、ベットに倒れ込んだ私が意識を失う前に廊下から2人の会話が聞こえてきた。
「それじゃあ、行きましょうか。滝山くん」
「えっ!? ど、どこに!? というか真珠は? 瑠璃さんは?」
「そんなことはどうでもいいです。早く行きましょう」
「ちょっ! ちょっと!」
「もう、何で素直にいうことを聞いてくれないんですか。しょうがないです。一旦眠ってください、滝山くん」
「ちょっ! リシアさ!」
またまた新作を書きました。
思わせぶりな彼女は全然振り向いてくれない
という作品です。少しでも興味があれば読んでみてください。
❤️、☆、コメントもよろしくお願いします!
https://kakuyomu.jp/works/16817330661430156107
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